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このコンテンツはスタンフォード大学の医学部内に設置されているラボ「Brainstorm」によって、今年度の「Audience Choice Award」に選出されており、脳科学などの分野でも高い評価を受けているようだ。
Soteria –Trailer from Mischa Hiessboeck on Vimeo.
Soteria VRはPC版のゲーム「Soteria –Dreams as Currency」を下敷きとして開発されたコンテンツだ。
ゲームプレイを通じて、プレイヤーの心の中に不安障害に打ち勝つための心構えを用意することを目的に開発された。
Soteriaのゲームデザイン開発には、アメリカの「Anxiety Research Center」を創設した一人であるReid Wilson教授も関わっており、学術的な観点からの監修もきちんとなされているようだ。
ゲーム中、プレイヤーは不安障害を抱えるキャラクターの精神世界を探索することになる。
舞台となるのは、「Soteria」と呼ばれる安全を司るギリシャの神を祀っている港町だ。このフィールド上で、プレイヤーは「Oicys」という敵を倒すため、3つのキーを探し出す必要がある。
ひとつめの鍵はミュージックストアに、2つめは人形劇場、3つめは展望台にある。
ただしこの鍵は、Oicysの手下たちによって堅く守られているのでD不安障害を体現している特別な場所にそれぞれ隠されているのだ。
鍵を手に入れるためには、敵と対峙する恐怖に打ち勝ち、乗り越えることが出来なければならないのだ。
Wilson教授の研究によれば、不安法外を克服する有力な方法とは、安全な場所にいつでもいたいという欲望から抜け出し、自ら不安を招き入れ、前に向けて歩みをすすめることだという。
Soteriaのゲームは、不安障害を抱える人が一歩前に踏み出す手助けをしてくれる、というわけだ。
今回Soteriaが受賞した「Audience Choice Award」は、脳の健康に関する研究をおこなうStanfordのラボ「Brainstorm」から贈呈されたもの。
Brainstormでは、脳の健康に関するイノベーティブな研究をエンタープライズと共同でおこなっている。
今回のアワードは、脳の健康を改善するためにAR・VRテクノロジーを使っている企業や機関を6つ選出し、その中から受賞者を選んだという次第のようだ。
大賞を受賞したのはSimon Fraser大学で、薬物中毒者が治療する際に、再び薬物に手を出さないようにVRを使って抑制するというアイデアが評価されたようだ。
BrainStormのNina Vasan教授が述べる通り、現在、イマーシブテクノロジーは自閉症、不安症、PTSDなどの診断や治療などに活用されており、応用の幅は広い。BrainStromは引き続き、精神医療にイマーシブテクノロジーを活用する方法を、企業や機関と共同で研究していく予定のようだ。
Soteria VR以外にも、精神医療にVRを活用した例は多数存在する。
以下ではその一部を紹介していこう。
「Outrospectre」はVRヘッドセットを活用して擬似的に幽体離脱を体験させることによって、リアルな臨死体験によるセラピ-を可能にするコンテンツだ。
体験者は両目に3Dカメラが、両耳にマイクが埋め込まれたロボットに背を向けて立つ。すると体験者の眼前にはカメラが映したライブストリーミング映像が送信され、VR空間の視界に自分の背面が音声とともに映し出される。
このため、自分自身で自分を外から見ている感覚に陥り、「幽体離脱」が体験できるというわけだ。
Limbixは、心理療法用のVRコンテンツを開発している。患者が恐怖を覚えている対象やイベントを、あえて積極的に眼前に提示することによって慣れさせる、という目的のコンテンツだ。
VRのこうした応用例は、現実空間では再現困難なシチュエーションであっても容易にシミュレーション可能であり、相性が良いといえるだろう。
またLimbixのVRコンテンツは、治療効果を高めるために、きっちりとリアリティを追求している点も特徴だ。たとえば「スピーチ恐怖症」の緩和には合成されたCGモデルではなく、きちんと人間の役者を用意し、その人に向けて喋るように促すようになっている。
参考URL:
Play for Change, BrainStorm, iThrive Game, Deep Games Labs,
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