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CEDEC 2016のセッション「手と指がVRの中にある:Oculus Touchのインタラクションデザイン」の様子を紹介する。
登壇者はOculusの近藤義仁氏と井口健治氏
まず最初に、Oculus製品についての紹介があった。
Riftが今年3月末に出荷され、Oculus Storeもオープン。ゲーム以外のコンテンツも充実してきている。
モバイル向けのGear VR。月間アクティブユーザー100万人を超えた。
開発者会議のoculus connectは今年で三回目。
去年の基調講演の様子。世界中から1500人以上が参加した。過去の様子雨はYoutubeのOculus Channelで視聴可能。
開発者サイト(developper.oculus.com)にはドキュメント、SDK、ツール、開発者ブログ等が用意されている。APIやSDKも公開されている。
ダッシュボードにアクセスするとOculus Storeにアプリの申請ができたりする。最近は日本語にも対応。
日本語のリソースも見ることが可能。
Touchコントローラーの機能について
Hand Presence(自分の手そのものがVR空間にあるという感覚)がキー。
Riftのポジショントラッキングセンサー。Touchにもセンサーがあり、それを合わせることでより広範囲のトラッキングが可能。
Touchの機能は以下。
6自由度のポジショントラッキングにより、正確なポジショントラッキングを実現。
アナログスティックは押し込むことでボタンとしても機能。
6つのボタンで従来のゲームパッドのような操作もできる。
トリガ。中指のトリガは握る、掴むといった動作が可能。
タッチ状態の取得。ボタンの押下だけでなく、ボタンに触れているかというのも取得可能。これにより、様々なハンドジェスチャを表現可能。
触覚フィードバック。ものに触れた時の反応や振動といったものを実現できる。サウンドデータをバッファに読み込み振動の周波数に変換することも。
Touchのローンチ時には30を超えるタイトルがリリース予定。
国内のデベロッパーもタイトルを開発している。
インタラクションデザインをする上での注意点等をToy BoxとBullet Trainの2つのタイトルの事例を交えながら紹介。
制約を排除し、プレイヤーの思った通りに動く必要がある。
現実をそのまま実装すればリアルに感じるとは限らないため、プレイヤーの意図を汲んだシステムが必要。
現実の手とVRの手が1:1で追従する必要がある。これが正確であると、VRのコントローラーを意識しなくなる。
VRの整合性よりもトラッキングを重視したほうが良い。
外見について、リアルすぎると不気味で、現実のとの差異が気になってしまうこともある。
サイズは、小さすぎると違和感があるが、多少大きくてもあまり違和感を感じることはない。
VR空間内には物が存在するので、それにぶつかる可能性がある。そこでVR側の手を止めると、トラッキングのズレが生じるため、基本的には貫通させたほうがよい。
しかし、手が見えなくなるとハンドプレゼンスが阻害されるので、めり込んでいる際の表現を加えてやるという手法がある。
VR内で自由に動けている手と、障害物に触れた時の手で2つの手を表示させるという例。
引き出しを引くなどの制約された動きがある場合、間違えた情報を表示するのであれば、一時的に手を消したりし、動かしたい対象だけを注目させるという手法もある。
握る・掴む・投げるという動作について、物理法則に則った動きをとることでリアリティが増す。
VRでは重さを感じることができないので、重いものや重心が手から離れているものだと違和感を感じる場合がある。
皮膚感覚レベルの触覚や圧感のフィードバックはまだないので、VRでは現実よりも少ない情報で握るなどの動作をするということを認識する必要がある。
トイボックスでは、ものを握っている時だけ小道具に対する当たり判定が存在するようになっている。(手を開いている時は道具に貫通する)
握っている物に対しての当たり判定については、コンテンツに応じて当たり判定の有無が分かれる。
細かい皮膚感覚がない状態なので、他の様々な感覚のアシストをすることで、掴めるものを認識させてあげることで、握れる・握れないを意識しやすい。掴める部分を光らせるなど。
ゲームの作りよってはリアルすぎるとストレスになるので、当たり判定を広めに取ってあげることで、拾いたいものを拾えるようにしてあげることも重要。
投げるという動作は基本的なアクションだが、現実でも難しい動作。それでも気持ち良くなるように、投げた瞬間に見ていた場所へ軌道を誘導するなど、アシストすることで快適なゲーム感覚が得られる。
道具を使うということに関して。いろいろな道具がある場合、簡単なものから複雑なものへのしていったほうが良い。
Touchでは、中指で握りつつ、人差し指もしくはジェスチャーで使うという手法がディファクトスタンダードであるが、コンテンツによって例外を許容するといった場合もある。
道具を持っている間、道具のみを表示させても、物自体に意識が向いているので手がなくても意外と違和感がない。
動くパーツがある道具などはより物体の存在感がある。
銃は比較的サイズの大きいものだが、手の動きをそのまま反映するとぷるぷる震えて軽く感じてしまう。
大きい、重いものの場合は重心にスムージングをかけることでその重さを表現することが必要。
また、リアルっぽく感じさせるために、あえてリアルではありえないような調整をすることで、操作感覚が向上することがある。
両手を使う武器。柔らかいものは手の自由度が高いが、固いものは手の位置がずれることもあるので、ある程度の矛盾は許容してやるという必要性もある。
想像したことが実現することでユーザー体験が上がるため、プレイ中のテスターができなかったことをできるように実装するとよい。
2D UI+レーザーポインターは既存の転用や複雑なメニュー等に有効だが、小さいボタンに対しては難しくなる。
道具型UIは、ゲームよりツールやアプリケーションに有効。
ゲーム世界の中の行動や物体自体をUIとするダイエジェティックUIは、楽しいが既存のUIと共存させるという方法もある。
上記を意識したゲームデザインをすることでVR体験はさらに向上する。
とはいえ、VRゲームデザインはまだまだ発展途上なので、テストを繰りかえし、コンテンツにあったものを実装していくとよい。
今までとは全く違ったハンドコントーラーでの操作や、それによる体験についての知見を得ることができたセッションだった。
さらに新しいVRゲームデザインの登場にも期待が持てる。
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