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アプリ名は「Look Again」。現在公開されているのはベータ版で、アンドロイド端末、iOS端末のいずれでも正常に動作する。
オールドコーナー書店にスマートフォンをかざすと、かつてのビルの外観が現実空間にオーバーレイされて表示される。
歴史的建造物の歩みを、ARによって体験することがでできるのだ。
オールド・コーナー書店はボストンのダウンタウンに存在する商業ビルディングで、建設されたのは1718年。アメリカ独立戦争の時代から、300年に渡り、ワシントンストリートの変化を見守ってきた。
建設当初はドラッグストアを階下に併設した個人住宅として利用されていた。しかし、時代が下るにつれて、有名出版社「ティックナー&フィールズ」や、ディスカウント宝石店「ウルトラ・ダイアモンド」なども入居するようになった。
現在は、メキシコ料理を提供するチェーン店、「チポトレ・メキシカン・グリル」が店舗展開している。
HBIは、ボストンにある歴史的建造物の保全や改修のために資金提供をはじめ、様々なサポートを提供するNPO団体だ。
技術的な専門知識の提供や、経営状態を健全化するためのプラン立案、そして、改修工事そのものも、支援プロジェクトの一環として実施している。
現在HBIは、1786年に造営されたマンハッタンの農園地「Fowler Clark Epstein Farm」を、都市農業のためのトレーニング施設としてリニュアルするというプロジェクト、また、1912年に建設された「UPHAM’S CORNER COMFORT STATION」を改修しバイク修理店や、コーヒーショップとして生まれ変わらせるプロジェクトなどを運営中だ。
今回リリースされたLook Againは、来年で誕生から300年を迎えるオールドコーナー書店を記念して制作されたARアプリ。
アプリを制作したのは、ARプラットフォーム「Vuforia」などの開発を手がけるPTC。Dudley Square Studiosに所属する、Ethan Vogt氏やGiovannna Casimiro氏といったアーティストが制作した、オールドコーナー書店のイメージ画像を、ソフトウェアに組み込んだ。
ユーザーは、Look Againをスマートフォンやタブレット上で立ち上げたあと、現実空間にあるオールドコーナー書店にカメラをかざす。するとビルの外観がARイメージと置き換わり、表示される。
これによって、 1850年の「ティックナー&フィールズ」が入居していた時代を始め、服の仕立て屋や宝石店が入っていた1890年、ピザ販売店があった1960年、そして、「グローブコーナー書店」の1990年代の様子を追体験することができる。
オールドコーナー書店の建物自体は、300年の時を隔てても大きく変化することはなかった。
しかし、店の外に配されている看板の種類や内容は、時代による変化の影響を大きく受けている。1960年代には「Boston Five Cents Savings Bank」の大きな看板が設置され、オールドコーナー書店の屋根は一部覆い隠され、見えなくなってしまったこともある。
オールドコーナー書店自体にはさほど興味がないという人も、Look Againを通じて、時代によって看板のデザインがどの様に移り変わっていったのかを楽しむ、と言った使い方もできるのではないだろうか。
今回のオールドコーナー書店のほかにも、歴史的建造物をARで再現しようとするプロジェクトはいくつか存在する。
以下で紹介しよう。
M. Hamdi Kan博士らを中心とするチームが開発したVRコンテンツ制作会社で、パリやローマ、アテネ、エルサレムなどの建造物をVR空間で体験できるアプリケーションを開発した。旅行に行かずとも、低コストで、歴史的建造物を体験できるようになる。
現在、同社は、「Ancient World in VR」と「Ancient Jerusalem in VR」の2つのアプリを公開中だ。
ロンドン国内の特定の場所に赴き、Google Cardboard VRを使用することで、その場所の過去の時代を覗ける……という、ロケーションベースのVRアプリだ。
たとえば、1666年に起きたロンドン大火災や、1940年のナチスドイツによるトラファルガー広場への空襲などを体験することができる。
参考URL:
HISTORIC BOSTON INCORPORATED, The Boston Globe, VRSCOUT
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