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パソコンのOSとしてメジャーな存在となっているWindowsで知られるマイクロソフトは、視覚化技術の分野でも存在感を強めている。
自社開発の専用MRデバイスHoloLensはまだ開発キットながら、来月からヨーロッパで販売地域が拡大される。Windows Mixed Realityに対応するヘッドセットは複数のメーカーが開発・製造を行っており、今年の末から来年にかけてヘッドセットの選択肢が増えるはずだ。
マイクロソフトは、ヘッドマウントディスプレイを通してユーザにMRオブジェクトを見せるだけでなく、ディスプレイから飛び出して見えるホログラムさえも実現させようとしているらしい。同社のホログラフィックディスプレイは、SF映画のホログラムのように空中に映像を表示することができるとみられる。
マイクロソフトの特許は、空中に映像を表示できるディスプレイに関するもののようだ。
HoloLensは任意の場所にMRオブジェクトを表示できるが、その映像を見るためにはユーザがHoloLensを装着しなければならない。一人ではなく複数のユーザが同時にMRオブジェクトを見たいならば、人数分のHoloLensが必要になる。
この特許では、ディスプレイを使って立体映像を表示する方法が考えられている。この方法ならば、デバイスが1台しかなくても複数人が同時に立体映像を見ることができそうだ。
マイクロソフトが開発を進めているとされるデバイスや技術は他にもある。その一つは、折りたたみが可能な小型デバイスだ。おそらくはスマートフォンやタブレット、あるいはファブレットのようなデバイスだろう。
このデバイスとホログラフィックディスプレイの技術が融合すれば、小型の端末でサイズ以上の情報量を投影することも可能になる。スマートウォッチの小さな画面ではメッセージを受信したことを伝えるくらいしかできないが、スマートウォッチから投影されたホログラムでメッセージ送信者の顔を見ながら通話することもできるようになるかもしれない。
Windows PhoneはiPhoneや各社のAndroid端末のように多くの消費者に利用されることがなかったが、MRデバイスでマイクロソフト製品が消費者のポケットに入るようになるのだろうか。
上の図は、今回の特許とはまた別の特許書類に含まれるものだ。こちらは昨年の11月に提出されたヒンジのある折りたたみデバイスを示しており、将来的にホログラフィックディスプレイと組み合わされる可能性もある。
今回承認された特許によれば、マイクロソフトのホログラフィックディスプレイは静的なホログラムだけでなくアニメーションするホログラムを表示することもできるようだ。CGが空中に浮かぶという物珍しさだけでなく、反応速度や視認性次第で様々な情報を表示するために使うことができるだろう。
ナビゲーション、エンターテイメント、ビジネスまで応用範囲は広い。
また、表示される立体映像は複数のディスプレイをソースとすることもできるらしい。一枚のディスプレイで可能な表現には限りがあるが、2枚あるいはそれ以上のディスプレイを組み合わせることでより品質の高いホログラムを投影することができるはずだ。
上図のような折りたたみデバイスであれば2画面を搭載するにも適しているので、デュアルホログラフィックディスプレイを搭載した折りたたみデバイスが登場するかもしれない。
ホログラフィックディスプレイは、平面的な二次元映像だけでなく三次元映像の表示にも対応する。立体映像を使うことで建物の構造を把握しやすくなる、会議などでデバイスを挟んだ向かい側の相手と同時にホログラムを利用しやすくなるといったメリットがありそうだ。
単にバーチャルディスプレイとして二次元の情報を表示する使い方に加えて、三次元映像を表示できるのはホログラフィックディスプレイならではの強みとなる。
現時点では特許が承認されただけであり、マイクロソフトが実際にホログラフィックディスプレイの開発に取り組んでいるかは不明だ。だが、最近のマイクロソフトがMR技術の開発に積極的な姿勢を見せていることから考えると予備的な研究は始めているのではないだろうか。
実用的なホログラフィックディスプレイが開発されれば、ヘッドマウントディスプレイが必要なMRよりも大きく世界を変えることになるだろう。視覚化に力を入れる企業にとって、見逃せない変化となるはずだ。
既に製品が存在するWindows MRヘッドセットやHoloLensだけでなく、マイクロソフトの開発するホログラフィックディスプレイにも注目である。
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