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テレビ番組にARを取り入れることで、従来にはなかった新しいテレビ鑑賞方法が生まれつつある。
従来、テレビ番組は視聴者が受動的に視聴するものだったが、昨今はこの仕組みが徐々に変わりつつある。番組放送中に視聴者からのツイッターの投稿を番組進行に取り入れる例など、視聴者が番組の進行に参加できる例が増えている。
ニューヨークに拠点を置くWe Are TVは、モバイルARを取り入れたテレビ番組の視聴サービス「We Are TV」を運営している。ユーザーはアプリをスマートフォンにインストールして、視聴中の番組に関する様々なARコンテンツをプレイすることができる。従来のテレビ視聴をよりインタラクティブにするものだ。
フェイスブックの調査によると、米国でテレビを鑑賞する視聴者のうち、番組放送中にテレビ画面をずっと見ている視聴者の割合は53%と、約半分だという。
残りはテレビ番組の視聴中にSNSに投稿したり、友人や家族と喋ったりなど様々な理由によって、テレビ画面にずっと集中しているわけではないという調査結果が出た。そして、調査対象となった人々のうち、94%がスマートフォンを片手に持ったまま番組を視聴しているという。
We Are TVの創業者であるMartin Rogard氏は以下のように述べている。
「We Are TV」は、テレビ番組を見ながら様々なARコンテンツをプレイすることで、視聴者が番組に参加できるサービスだ。アプリを起動して、生放送もしくは収録番組のどちらかを選択する。するとテレビ画面の周りにコミカルなキャラクターがたくさんAR表示されるという仕組みだ。
視聴者は番組の視聴中にテレビ画面に向かって赤や白のボールを投げたり、スポーツ試合であれば応援するチームが優勝したときなどにハートマークの3DモデルをたくさんAR表示して「いいね!」をつけたりなど、様々な活用が考えられるサービスだ。
「We Are TV」はフランスでローンチされたアプリであるが、現在は米国へも進出している。
米国で放送されるいくつかの番組はすでに「We Are TV」に対応しており、たとえばテレビドラマ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」、「ウォーキング・デッド」、「ゲーム・オブ・スローンズ」などの番組で、それぞれの内容をテーマにしたARコンテンツが表示される。
「We Are TV」では、SNSを使用して従来のテレビ視聴をよりソーシャルなものにしている。たとえばスポーツ試合の観戦時などで、ユーザーはAR表示されたハートマーク、トマト、爆弾などを試合の進行に応じてAR表示することが可能で、これらのARオブジェクトはフェイスブックを通して共有することができる。
フェイスブック上の友達同士で「We Are TV」上のARコンテンツをシェアできるので、友達が番組放送中に行なったアクションがユーザーのスマートフォン画面にAR表示される。
テレビ番組は多人数で観たほうが盛り上がりやすいが、ARによって遠隔地にいる視聴者と一緒に番組へのリアクションを行うことができる。
「We Are TV」は2017年10月にリリースされたばかりの新サービスだ。しかし本アプリはフランスのApp Storeにおいて、エンターテイメントカテゴリーのアプリランキングで一位を獲得しており、これは同アプリがネットフリックスアプリよりも高い人気を得ていることを示している。
現時点で5,000人〜6,000人のユーザーがいるとのことで、これまでに50万回以上ものリアクションが番組放送中に行われたとのことだ。
本アプリは主に若い女性を中心にして人気を得ているとのことで、ユーザーの75%が女性とのことだ。
また、ユーザーには若年層が多く、15〜35歳のユーザーが本アプリをよく使用しているとのことだ。
現在、「We Are TV」では同アプリを通して収益を得られるモデルの構築を進めており、アプリ内の購入機能を数週間以内に追加するとのことだ。
アプリ内では様々な種類のスペシャルアイテムを購入可能になるとのことだ。今後、様々な番組やスポンサー企業とタイアップすることで様々なARコンテンツを同アプリで使用できるようになるかもしれない。
モバイルARを用いて従来のテレビ視聴を大きく変える可能性を秘めており、今後の展開に注目したい。
参考:Next Reality We Are TV Aims to Gamify Your TV Shows with AR
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