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採用されたVRヘッドセットは、SyncThink社が開発をおこなった「Eye-Sync」。
アイトラッキング技術を活用することで、脳震盪を起こした選手を早期に発見することが可能だ。既にアイオワ州立大学やスタンフォード大学などでサッカーやレスリング選手などが使用している。NBAで「Eye-Sync」を導入するのはGolden State Warriorsが初めてだ。
スポーツ選手を対象としたイマーシブテクノロジーは、今後一層進展していくだろう。
SyncThink社のJamshid Ghajar博士らによって開発されたEye-Syncは、わずか60秒間で、ヘッドセットを装着した選手の脳震盪の有無を評価することができるソリューションだ。
スポーツ選手の脳震盪は、軽度な場合、試合中に発見しづらいということが以前から指摘され続けてきた。通常であれば脳震盪の診断には時間がかかるのだが、長時間に渡って、選手を試合から離脱させることはなかなか難しいからだ。
しかし、Eye-Syncを使うことにより、短時間で脳震盪を診断できるようになれば問題は解決されるはずだ。このため、選手の病状が深刻化する前に効果的な対処ができるようになると期待されている。
Eye-SyncはVRヘッドセットに内蔵されているアイトラッキング用カメラを活用して脳震盪を検出する。
私たちの脳は、外界から受け取った情報を基に「次に受け取ることになる情報」を予測するようになっている。そして脳が情報を予測して、次にその人が取るべき行動をについての指令を出す。
このように「予測」と「行動」の同調が適切に行われているうちは、人間は安全に行動できるので問題ない。ところが脳震盪を起こすと、同調の安定性が崩れてしまい、注意深く予測し、行動に移すことができなくなってしまうのだ。
そこでEye-Syncは同調が適切に処理されているかを、ヘッドセット着用者の眼球の動きを精査に観察することでチェックする。VR空間状を、円状に素早く移動する点の集合をトラッキングさせるのだ。そして視線の軌跡がきれいに円を描けているかどうかを確かめる。
もし、あまりにも視線の軌跡が乱れているようであれば脳震盪の疑いがある、というわけだ。このようにシンプルなテストで、選手が棄権すべきかどうかをわずかな時間で判断できる点がメリットだ。
スポーツメディアのSports Techieは、SyncThinkのCCO(Chief Compliance Officer)を務めるScott Anderson氏が次のように語ったと報じている。
「Golden State Warriorsでパフォーマンスとメディカルを担当しているチームが我々のテクノロジーを取り入れ、そして、Warriorsがテクノロジーによって活用可能となる、多くの機能を使用している様子を見ることを楽しみにしています。」
「Warriorsは上から下まで、バスケットボールに先端技術を購入することによる、先進的な取り組みをおこなう組織だと知られており、ですから、WarriorsがSyncThinkにとってNBA初の顧客になったということに、驚きはないのです。NBAの次シーズンで、Warriorsと共に仕事ができることが楽しみです。」
Anderson氏が語るように、WarriorsはNBAの中でも最新テクノロジーを駆使して選手のパフォーマンス向上に努めてきたチームのひとつだ。
プロフェッショナルのスポーツ選手にとって、競技に役立つテクノロジーを積極的に活用するという事自体はまではそれほど珍しいものではない。
そのため、カルフォルニア大学のスポーツ選手を守るために登場したSyncThinkが、その有効性に期待を寄せられ、プロスポーツの領域にまで展開すること自体は自然な流れであるように思われる。
また、SyncThinkはプロアメリカンフットボールリーグ「National Football League(NFL)」のNew Orleans Saintsでタイトエンドのポジションを担当する、Coby Fleener選手のアドバイザリーボードを務めることになったと発表している。
今後も、バスケットボール、アメリカンフットボールに続いて、選手間の接触が激しい競技では続々と導入するところが増えていきそうだ。
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