医療用3Dイメージング技術の開発を手がけるEchoPixelは、ベンチャーキャピタル会社であるIntel Capitalなどから、シリーズAで850万米ドルの投資を受けることに成功した


ARと聞くと、一般的にはゲームなどコンシューマー向けの需要が多いと思われがちだ。しかし、AR技術は医療分野においても大きく活躍することが期待されている。


医療現場で働く医師は、AR空間上に配置された人体の臓器、組織の3Dモデルを使って医療知識を学習することで、より適切ですばやい患者への処置が可能となる。このほかにも、より好ましいケアを患者に施すことができるようになるかもしれない。


Intel Capitalらも医療分野でのAR・VR市場の成長を見越して、今回の資金調達に踏み切ったのであろう


(見出し)EchoPixelとは?


ソフト「True 3D」などを開発




EchoPixelは医療用VRソフトを開発する企業のひとつだ。


これまで人間の臓器や3Dモデル化し、インタラクティブな操作ができるようにしたソフトウェアソリューション「True 3D」などを発売してきた実績がある。医師はこのソフトを使うことにより、CTスキャンなどで得られた患者の臓器に関する2Dデータ情報を、AR空間上の3Dモデルとしてビジュアライジングすることが可能となる。


True 3Dでは、医師は臓器の3Dモデルにタッチして、自在に回転させることができるようになっている。操作に対しては、リアルタイムでのレスポンスが返ってくるというので、操作感は良好そうだ。モデル上には余分な情報は一切含まれていないので、モデルに意識を合わせやすい、という利点もある。


分野を問わず全ての医師をサポート


True 3Dを使うことで、医師にとって関心のある部位とその周辺の臓器に関する情報までも、モデル上でいっぺんに把握できるので、素早く手術方法を決めやすくなる。


また、もちろん3Dモデルには、正確な医療的知識に基づいた正確なデザインが反映されている。モデルは実物大で表示されるので、臓器のサイズ感や、臓器同士の距離感などの空間情報もしっかりとフォローしているのだ。


心臓手術を専門とする外科医であっても、放射線医師であっても、医師であれば専門を問わず、誰にでも広く使えるソフトウェアに仕上がっているといえるだろう。


資金調達の概要


Intel Capitalを中心に850万米ドルを調達


今回EchoPixelが受け取った850万米ドルの資金調達は、ベンチャーキャピタルのIntel Captal主導のもとおこなわれたものだ。


Intel Capitalの社長であるWandell Brooks氏は、今回の投資について、


「Intel Capitalはテクノロジーのパイオニアに対して投資をおこなっています。私達はEchoPixelに投資をおこなうこと、そして、彼らのARテクノロジーによって患者の治療がどの様に変わるのかが見られることを、楽しみにしているのです」


というコメントを残している。ここからは、EchoPixelに対するIntel Capitalの期待感が伝わってくるだろう。


資金は広告費、研究開発費などに充てられる予定


Intel Captalのほかに、投資に参加したのはAurus Capital、Runa Capital、Harris & Harris Groupなどの企業だ。


調達した資金は、True 3DをはじめとするEchoPixelがリリースしたプロダクトの宣伝費用、また、研究開発費に充てられる予定だ。


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EchoPixelのCEOを務めるSergio Aguirre氏は次のようなコメントを残している。


「医療用イメージを、より多くの医療従事者に入手しやすいものに変え、さらに、医師の仕事と患者の理解を、独自の解剖学的な手法に基づくものへと変化させることで、EchoPixelのTrue3Dは、医療コミュニティ内での興奮をつくり出したのです」


AR空間上での医療用3Dイメージを制作している会社は、EchoPixelだけではない。


たとえばHoloEyesは医療用VRシステムとして「HoloEyesVR」を開発中だ。このシステムを使えば、医師は3D空間中で患者のCTデータを自在に閲覧することができるようになる。




また、単純に医療者向けの解剖学的知識をVRで提供している企業としては3D4Medicalも挙げられるだろう。同社のリリースした「Project Esper」は、非常に詳しく、正確な解剖学的知識が援用されている。VRを活用することで生徒の理解も深まり、臨床教育の現場を大きく変えるのではないかと期待されている。


「医療 × AR・VR」はこれからますます発展していきそうな領域だ。EchoPixelを含め、今後の市場展開に期待したい。


参考URL:

EchoPixel, VRFocus


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 VR医療ソフトを手がけるEchoPixel、Intelなどから850万米ドルの調達に成功