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専用のセンサーを搭載したスマートフォンを使わなくても、AppleのARKitやGoogleのARCoreを使うことで一般的なスマートフォンで本格ARアプリを利用できるようになる。しかし、こうしたモバイルARプラットフォームが登場してもしばらくは「ARゲーム=ポケモンGO」の状態が続くだろう。
昨年の夏に大ヒットしたこのスマートフォン用ゲームアプリの功績は大きく、このアプリに関する報道で初めてAR技術について知ったという人も少なくないはずだ。あの大ブーム時に比べるとその人気は落ちているのではないかと思われるが、ポケモンGOは今どうなっているのだろうか。
CMOがポケモンGOの今をまとめて発表している。
多くの人が興味を持っている言葉は、Googleのような検索エンジンで検索される回数が増える。Google Trendsで公開されている検索回数の変化を見れば、その物事に対する注目度の変化が見えてくる。
見出し下の画像(上)は、Google Trendsで”Pokemon go”や”minecraft”といった人気ゲームタイトルが検索された回数を示したグラフだ。水色で示されたポケモンGOのみ、一気に検索回数が増えてその後にブームが収束していったことが見て取れる。
一方、マインクラフト、リーグ・オブ・レジェンド、ハースストーン、オーバーウォッチといった人気タイトルの検索回数は安定している。ポケモンGOのグラフは、他のゲームとは違う動きを示しているのだ。
下の画像は、ゲームとは異なるジャンルの検索ワードと比較したグラフだ。
ポケモンGOのグラフは他の人気ゲームよりもむしろ”Trump”や”iPhone”といったワードに近い動きを見せている。長く一定の検索回数を保つのではなく、大統領選挙や新製品の発表といった何らかのイベントがあるタイミングで一気に検索回数が増えるのだ。
このグラフを見ると、流行は長く続かないということが分かる。もちろん流行に乗ってゲームを始め、そのまま定着するプレイヤーもいるだろう。しかし、多くの消費者の興味はブームが終わると次のターゲットへと移っていくのだ。
ちょうど今検索回数が増えているiPhoneは、ARKitによってモバイルARの新しい時代を切り拓くポテンシャルを秘めたスマートフォンだ。ポケモンGOのブームが再燃することはなくとも、AR技術に対する興味は再び起きるかもしれない。
ARアプリを一言で説明するなら、「ポケモンGOみたいなアプリ」と伝えるのが有効なことが多い。検索回数が減ってもポケモンGOの人気が衰えたわけではなく、今でも多くのプレイヤーが世界中でポケモンをゲットしているようだ。
「ブームに乗っかってダウンロードしただけで、遊ばないからアプリをアンインストールしてしまった」という消費者も少なくはないだろう。
だが、ポケモンGOの月間アクティブプレイヤーは6,500万人だという。登録者ではなく、月に1回以上ゲームを起動するプレイヤーがそれだけいるということだ。
アプリのダウンロード回数は7億5,000万回を超えているので定着率が低いようにも見えるが、ダウンロード回数にはスマートフォンを買い替えたり、初期化したりしてダウンロードし直したユーザも含まれるはずだ。ダウンロード者の8.5%以上が現在もプレイを続けていると考えれば好成績である。
ちなみに、プレイヤーは1日に平均して26分ポケモンGOをプレイするという。プレイ時間はあまり長くないが、長時間の張り付きが不要なシステムだからこそ多くのユーザがプレイを継続できているのかもしれない。
ポケモンGOは基本プレイ無料方式を取っており、ずっと無料で遊び続けることもできる。必須ではない有料アイテムを購入することで、ゲームのプレイが有利・便利に進められるというシステムだ。
しかし、総売上は12億ドル(1,346億円)にもなるという。2016年にApp Storeでのダウンロード回数1位を獲得しただけでなく、売上も大きいアプリなのだ。
「リアルマネーを投じた者が勝つ」という課金前提のバランスではないことから、長期に渡ってプレイしつつ、少しだけ有料アイテムを購入するライトユーザが多いとみられる。少数の熱烈なファンに頼るのではなく、多くのプレイヤーに少しずつお金を使ってもらうことに成功しているゲームだ。
他の多くのゲームと同じく、ポケモンGOのプレイヤーも若い世代に多い。ただ、若いといっても子供たちに人気というわけではないようだ。
プレイヤーの78%は18歳から34歳であり、最大勢力となっているのは21歳から27歳の男性だという。ちょうど小学生くらいの頃に初代ポケモンが発売した世代であり、友達とポケモンバトルや交換を楽しんだ経験があるのではないだろうか。
現在は社会人となって有料アイテムを購入する金銭的余裕もある彼らがポケモンGOを支えているという面はありそうだ。
ポケモンGOでは地域によってマップ上に出現しやすいポケモンが異なるが、いつも決まった場所にポケモンがいるわけではない。一方で、各地の名所や目立った建物にはポケストップやポケモンジムが設置され、現地を訪れることでゲーム内アイテムを入手したり、バトルに挑戦したりできる。
このポケストップには特定の商業施設と関係のないもの(寺社仏閣や公園など)だけでなく、スポンサー企業の店舗もある。店舗をポケストップやジムにすることで、ポケモンGOプレイヤーの来店が見込めるからだ。
こうしたスポンサー付きのスポットは35,000箇所も存在し、ポケモンGOのプレイヤーが訪れた総数は5億回にもなるという。全ての訪問がポケモンGOのみの影響というわけではないにしても、有効な広告方法であることは否定できない。
ポケモンGOのプレイヤーが歩いた歩数は1,440億歩、ゲットしたポケモンは880億匹に上るという。
自宅で運動できるVRゲームも良いが、ポケモンを求めて街を歩くのもダイエットには効果がありそうだ。
今でも世界中で遊ばれているARアプリ、ポケモンGO。人気がある既存キャラクターの魅力に加えて、長く遊びやすい、ライトユーザが遊びやすいシステムを構築していることがその一因だろう。全てのARゲームやVRゲームに適した方式とは言えないが、参考にしたいというデベロッパーは多そうだ。
ARKitのリリースでスマートフォン用ARアプリにも注目が集まっている今、ポケモンGOに続くARゲームのヒット作が登場するだろうか?
参照元サイト:CMO
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