VR元年と言われた昨年に続く本年、2017年もそろそろ年末が近づいている。


VRにとって2年目が過ぎようとしている今、市場を見渡せば、VRデバイスやVRコンテンツの数が順調に揃いだした印象だ。


これからVRコンテンツの提供を始めたいと考えている企業・クリエイターも少なくないことだろう。


そこでこの記事では、VRコンテンツを開発するためのソリューションについてまとめてみた。


 


VRゲームの2大開発ソリューションUnity&アンリアル エンジン




VRコンテンツの代表格と言えるのがVRゲーム。


VRゲームを開発する場合、当然ながらHTC VIVEやOculus RiftといったヘッドマウントディスプレイVRを再生可能な開発用PCが必要となる。


他に必要となるのが、開発ソリューションとしてのゲームエンジン


ゲームエンジンは、ゲームをヘッドマウントディスプレイに最適な形で表示したり、モーションコントローラーを用いたプレイヤー操作の感知を行ったり…といったVRゲームに必要となる要素に標準対応している。


このためゲームエンジンを使うことで、3DCGを用いた一般的なゲームを開発する場合とさほど変わらない労力での開発が可能だ。


スマートフォンゲームの普及とともに広まった「Unity」




VRゲームに対応したゲームエンジンの代表格が「Unity」だ。


ユニティ・テクノロジーズ社のゲームエンジン「Unity」は、スマートフォンゲームの開発において用いられることが多いが、PCゲームやコンシューマゲームの開発も可能。


3DCGを表示するためのシェーダーやカメラといった機能、2Dゲームを作るためのスプライト、あらゆるゲームで必要となるパーティクルといった機能を標準で備えており、ゲーム開発に必要な労力を軽減してくれる。


また、アセットストアと呼ばれる、クリエイターが作った素材を売買するストアも備えており、3Dモデルやグラフィック素材、音声といったゲーム用素材を調達することも。


ゲーム基本メカニズムを検証するプレイアブルα版や、規模の小さいゲームを作る場合であれば、数日程度で可能にしてしまう力を持っている。


VRにも対応しており、プレイヤー設定 の「Virtual Reality Supported」をオンにすることでVRに対応した出力設定が可能だ。


価格形態はバージョンによって異なるが、2017年10月時点では、月額のサブスクリプション制となっている。


無料の「Personal」、4,200円/月額の「Plus」、15,000円/月額の「Pro版」という3つのプランが存在。


いずれもVRコンテンツの開発に必要な機能は使用可能だが、年収または資金調達額が各プランの利用条件として設定されており、年収や資金調達額が一定額以上に達している場合は、上位プランを選択する必要がある。


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Unity


グラフィックの美麗さは群を抜く!「アンリアルエンジン」




「アンリアルエンジン」もまた、代表的なゲームエンジンのひとつだ。


「アンリアルエンジン」はEpic Gamesより開発されたゲームエンジンで、「Unreal」や「Gears of War」といった同社のゲームに採用されてきた。


ゲームエンジンとして一般への提供も行われており、誰でも「アンリアルエンジン」を用いた開発が可能だ。


これまで主にPCゲームやコンシューマーゲームの開発に用いられており、グラフィックの美しさに定評がある。


VR/ARの開発にも対応しており、「Unity」同様、設定変更によってVRデバイスへの出力が可能。


また、「VRエディタ」という、VRデバイスを用いた開発にも対応している。


「VRエディタ」を用いることで、仮想世界にいながらにして仮想世界を構築することができるため、高さや距離感など、コンテンツ体験者の感覚に近い状況で開発することが可能だ。


「アンリアルエンジン」は利用自体は無料だが、ロイヤリティが発生する。


ロイヤリティは、四半期ごとに、プロダクト1個について得られた粗収入のうち3,000 米ドルを超えた分の5%。


「粗収入」というところがポイントで、たとえばAppStoreでプロダクトを販売した場合、Appleが販売手数料を差し引く前の価格に対してロイヤリティが発生することに注意しよう。


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アンリアルエンジン


 


VR動画の開発ソリューションは360°カメラ?




3DCGを使って架空世界そのものを構築しなければならないVRゲームと異なり、VR動画やVR画像は現実の風景を360°パノラマ形式で撮影すれば作ることができる。


このため、「RICOH THETA」や「Vuze Camera」といった360°カメラがあれば、とりあえず作成可能だ。


撮影した360°動画を配信するには、「Youtube」「ハコスコCDS」といった配信プラットフォームを使えばOK。


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VR動画も対応済み!動画配信プラットフォームの第一人者「Youtube」




動画サイトと言われていの一番に名前が出てくる「Youtube」は、VR動画においても第一人者と言える存在だ。


「Youtube」でVR動画を配信するには、通常の動画よりもひと手間かける必要がある。


360°カメラを使ってVR動画を撮影したら、動画ファイルをPCに移し、360 Video Metadataアプリを用いてメタデータを作成した上でアップロード。


Youtubeでの配信、360 Video Metadataアプリいずれも、利用は無料だ。


360 Video Metadataアプリは以下関連リンクからダウンロードできる。


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360° 動画のアップロード


VR動画で直接収益を上げるなら!「ハコスコCDS」


出典元:ハコスコCDS


プロモーションを目的としたVR動画であれば視聴者の多い「Youtube」がベターだが、「Youtube」は動画への直接課金が困難であるため、VR動画で直接収益を上げるという目的には向かない。


VR動画で収益を上げるというのであれば、「ハコスコCDS」というプラットフォームが存在している。


「ハコスコCDS」は、早くから紙製スマホVRゴーグルの提供を手がけていた「株式会社ハコスコ」によるVR動画配信プラットフォーム。


無料プランと有料プランがあり、有料プランではVR動画への課金を可能とする仕組みが用意されている。


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ハコスコCDS


 


不動産のVR内覧に特化した開発ソリューション


VRを使った物件の内覧という形で、早くからVRが導入されていた不動産業界では、VR内覧サービス用の開発ソリューションが存在している。


もちろん、VRに対応したゲームエンジンや、360°カメラ&VR動画の配信プラットフォームという形でもVRによる物件内覧コンテンツを作ることはできる。


ただ、VR内覧に特化したソリューションを使うことで、遥かに労力を抑えたコンテンツ制作が可能だ。


映像内での移動や情報表示が可能なVR内覧制作ソリューション!「houseVR」


出典元:「houseVR」


VRbouz株式会社の「houseVR」は、360°カメラ「RICOH THETA」を使った、VR内覧コンテンツ制作ソリューション。


移動用インターフェースを実装し360°画像をリンクすることで、部屋から部屋への疑似的な移動を実現。


また、映像内で付加情報が表示可能になっているなど、VR内覧コンテンツに必要な機能が揃っている。


費用は初期システム導入費が50,000円(税別)。


物件数10物件に対応したスタートプランが、4,000円/月(税別)で、260物件までに対応した賃貸募集物件用プランが100,000円/月(税別)。


10万物件まで対応したエンタープライズプランが5,000,000円/月(税別)となっている。




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houseVR


 


参入障壁が下がった2年目!これからはクオリティがカギ


VR2年目である2017年は、VRコンテンツ制作に必要なソリューションも揃ってきて、VRコンテンツ制作の知見共有も進んできた。


2016年と比べて、VR市場への参入障壁はグッと下がったと言えるだろう。


どんな業界でもそうだが、参入障壁が下がれば競争の激しさが増し、クオリティが求められるようになっていく


これを踏まえると、これからはVRコンテンツのクオリティをいかにアップするかという点に開発リソースを集中させるべきだろう。


そのためには、VRコンテンツ制作の基本的な部分を担ってくれる開発ソリューションをいかに上手く使いこなすかがポイントといえそうだ。


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 VRコンテンツを開発するならコレ!VR制作ソリューションまとめ