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エンターテインメントに応用できるテクノロジーの研究に取り組んでいるDisney社の研究部門Disney Researchは、リアルな絵画の色を変えることができるスマホARアートアプリ「AR Museum」を発表した。
同アプリは、スマホのカメラから画像認識した絵画の色をバーチャルに変えることができる、というもの。具体的には、スマホのディスプレイに表示された絵画の色を塗られた領域ごとに認識して、その色領域をタップしてユーザーが変えたい色を選択すれば、バーチャルに塗られた色が変わるのだ。例えば、ゴッホが描いた自画像の肌の色を変えたり、ゴッホが描いた風景画の配色を変えたりできるのだ(トップ画像参照)。
同アプリによる画像認識においては、似たような色を同じレイヤーに分類する処理が働いており、色の変更はこのレイヤーごとに実行される仕組みとなっている(下の画像参照)。
同アプリの使用事例には、美術展でアトラクション・アプリとして活用することが真っ先に考えられる。また、絵画をレイヤーに分解できることから、絵画制作の成り立ちを研究する学術目的にも使えるだろう。あるいは、画家が制作中の絵画の配色をバーチャルに変えるために使う、ということも想定できる。
だが、もっとも分かり易い使用事例は、絵本や塗り絵帳に応用することだろう。とくに塗り絵はもともと色領域が明確に分かれているので、バーチャルに何度も簡単に塗り直すことができるようになるだろう。
なお、同ARアプリはまだ研究成果として発表された段階なので、同アプリが実際リリースされるかどうかに関しては不明である。
リアルなモノに何らかのAR表示処理を実行するARテクノロジーを使えば、リアルに存在するアート作品のビジュアルをバーチャルに変えることができる。本メディアでは、こうした特徴を生かしたARアートアプリの事例をすでに紹介してきた。
カナダ・トロントにあるギャラリーであるオンタリオ・アートギャラリーでは美術展「ReBlink」が、2017年7月6日から12月3日まで開催されている。
同美術展に展示されている絵画は、同ギャラリーが所蔵する制作年代の古い「古典的」な肖像画が中心となっている。だがしかし、古典的な絵画を展示しているにもかかわらず、極めて「現代的な」な美術展でもある。
同美術展を現代的にしているのは、その鑑賞方法にある。まずは通常通り、絵画を鑑賞する。次に絵画に対して、スマホカメラを向けるのだ。すると、古典的絵画に描かれた人物にAR表示が重ねられて、まるで現代に生きているかのようにスマホを使って自撮りしたり、スマホの画面をスワイプする様子が見れるのだ(上の動画参照)。ちなみに、美術展の名称「ReBlink」は直訳すると「再びまばたきする」となる。
東海テレビ放送(本社:名古屋市東区、代表取締役社長:内田優)は、体験型展示イベント「心おどる!かざす未来のアートARワンダーランド」をテレピアホール(名古屋市東区東桜1-14-25 テレピアビル2F)にて2017年7月22日(土)~9月3日(日)の期間で開催すると発表した。同イベントで展示されているコンテンツには、以下のようなものがある。
「地球ちゃんなゴーゴー」は、地球を無限の宇宙を巡る旅人に見たてたARコンテンツ。
ダンスや山登り、パレードやサイクリング、いつも地球ちゃんは動き続ける。鼓動のような歯車のような音も聞こえてくる。
時には立ち止まったり、悩んだりもするけれど、それでも地球ちゃんは回っている。
「大切なものは、目に見えない―」は、世界中で愛されるサン=テグジュペリの小説 “Le Petit Prince”にインスパイアされたコンテンツ。
星の王子様が、本の世界から飛び出しくる。
以上のように、ARテクノロジーをアート作品に応用する範囲は広範に認められるので、今後も斬新なビジュアルのARアートアプリが登場するだろう。
ARアートアプリ「AR Museum」を発表したDisney researchのプレスページ
https://www.disneyresearch.com/publication/ar-museum/
「AR Museum」を解説したDisney research発表の学術論文
https://s3-us-west-1.amazonaws.com/disneyresearch/wp-content/uploads/20170814151522/AR-Museum-A-Mobile-Augmented-Reality-Application-for-Interactive-Painting-Recoloring-Paper.pdf
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