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ドイツの家電量販店Saturnはヨーロッパ全土にチェーン店を展開する大企業だが、同社は現在、ARを用いたユニークな顧客サービスを展開している。
同社が運営する家電量販店に「バーチャル店員」を配置して、接客サービスを行うというものだ。
「ポーラ」という名のバーチャル店員は、来客をエスコートしたり商品の説明をするなど、これまで人間の店員が行っていた業務を分担するものだ。
同社が取り組む「バーチャル店員」サービスは現在テスト段階で、全店舗のうち20つの店舗にて試験的に運用している。
バーチャル店員「ポーラ」とのやりとりはマイクロソフトのARヘッドセット「HoloLens」を装着して行い、ポーラは店内にある様々な商品についての説明をしてくれる。
たとえばサムスンのGalaxy S8やマイクロソフトのSurface Pro 4、ダイソンの掃除機Big Ballなどの様々な製品のスペックや特徴について教えてくれる他、来客をエスコートしたり、記念写真の撮影にも応じてくれるという。
MediaMarktSaturn リテールグループのMartin Wild氏は、本サービス「HoloTour」に関して以下のように語っている。
ここでいう「バーチャルなアイテム」とは、たとえば本や雑誌などのデータ媒体を販売するのか、もしくは家具や服などの物理アイテムを3Dデータで試すことができるようになるのかは定かではないが、バーチャル技術を活用したショッピング体験の可能性を切り開くものだ。
ドイツのジャーナリスト、Markus Rohm氏はバーチャル店員「ポーラ」を体験したのち、その感想について「おかしな体験だった」と語っている。
彼によると、巨大なヘッドセット型デバイスを着けて店内を歩き回ると周囲にいる人々には奇妙に映るとのことで、また、「HoloLens」をリテール事業に用いるにはデバイスのさらなる改善が必要だという。いわく、同デバイスは視野角が極めて狭く、ホログラム表示されるポーラの姿を見失いやすいとのことだ。
もちろん、この取り組みはまだ試験段階であり、さらなる開発、改良を前提とした上での実店舗投入であるために、サービスのスペック的に劣る面があるのは仕方がない。
しかし、ホログラムによるバーチャル店員による接客サービスや、HoloLensを実店舗での販売事業に用いるという点ではこの取り組みは新規性が高く、これからの展開が注目できる。
今後、コンシューマー向けの高機能ARデバイスが発売され、メガネ感覚で日常的に装着できるようなコンパクトなデザイン、軽量化が施されれば、店舗でのバーチャル店員とのやり取りはスタンダードになるのかもしれない。
マップや建築物の3DデータをARによって表示する「HoloMaps」は、エンタープライズ向けのサービス。
建築物やマップ、それに関する情報などを3Dデータ化して表示することが可能で、またこれらのデータを複数人で共有することもできる。
マップの表示はカスタム可能で、マップのカラーや透明度、スケールなどを自在に変えることが可能で、重要な箇所や気になる部分にはメモを添えたりハイライトを付けたり、3Dのインクで書き込むこともできる。
HoloLensを活用したサービスを実用化する取り組みは様々な企業が行なっているが、TaqtileはHoloLensを用いたサービスを実用化した数少ない企業のうちの一つで、アリーナデザインの3Dデータやゴルフコースのツアー紹介プロジェクトなどを行なっている。
小柳建設株式会社はマイクロソフトと提携して、HoloLensを活用したプロジェクト「Holostruction」の開発を発表しており、同サービスは現在、商標登録および特許を申請中。
小柳建設は、日本マイクロソフトと連携する事で、建設業における計画・工事・検査の効率化、およびアフターメンテナンスのトレーサビリティを可視化するコンセプトモデルを開発したとしており、今後、継続的に開発を行っていき、将来的な実用化に向けて取り組んでいくとしている。
業務生産性とトレーサビリティの向上を目指して、HoloLensを活用するのは、国内では小柳建設株式会社が初となる。
参照元:NextReality
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