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アプリ名となっている「シンギュラリティ」は、日本語では技術的特異点と訳されており、一般的には人工知能の知性が人間を凌駕することで生じる出来事を意味している。
そうした名前の由来に反さず、上記の動画でSinguralityは私たちに「超人類的知性がグラフィックデザインに360°囲まれた空間で周囲を見たらどうなるか?」といったシミュレーションを見せてくれている。
動画では、Singuralityのユーザーが同アプリの使用によって何を制作することができるようになるのかについてわかりやすく伝えている。
画面を波打って横切る曲線が現れ、入力された文字が表示される様子が映し出された後、三角や円などの図形が次々と作成されていく。また巨大な「Hello world」という文字が登場したり、波線に従うように表面が波打っている文字、直方体の角に合わせて曲げられた文字など、「VR空間で制作可能なデザイン例」様々ないくつも紹介されていく。
動画を見る限りでは、少なくとも文字と単純な図形作成と図形変形に関して言えば、十分におこなうことが出来るだろう。
とはいえ、もちろんこれらのデザインはVR空間でなければ思いつかない、と言った類のものではない。Illustratorなどで類似のデザインを制作すること自体は特段難しくはないだろう。
ただし、VR空間をアイデア産出のための補助ツールとして使うことで、新たなデザイン案を考えつく道が開けることがありうるのではないだろうか。
Relajaelcocoの共同創設者であるFrancesco Furuno氏は、VRSCOUTの取材に対してSinguralityを思いついたのは、「現在のVRアプリやゲームが伝統的なグラフィックデザインにおける2Dの要素をどれほど見逃してしまっているのか」に気付いたことがきっかけとなっていると語ったという。
またFruno氏は次のようにも述べている。
「私たちはVRのことを新しい生活にグラフィックデザインを与えてくれる完璧なテクノロジーだと考えています」
Fruno氏に言わせれば、現在のグラフィックデザインは「悪い時期を迎えている」のだという。
彼はオリジナリティの欠如や、あるいは過去数十年に流行した「ヴィンテージもの」のスタイルやアイデアに注目しているといったことがその原因として挙げる。
しかし、VRはそうした現状を力強く打破する契機となりうるかもしれない。つまり、2Dのグラフィックデザインについて一度3D空間で考えるというプロセスを挟むことで、2Dの作業環境のままでは気づくことがなかった新たな視点を獲得することが可能となるかもしれない、というわけだ。
Singularityのようにデザインを目的とした、あるいはVR空間でのドローイングを可能とするアプリケーションやデバイスはこれまでにも数多くリリースされているし、あるいはリリースが予定されている。以下ではその内から幾つかを紹介していこう。
たとえばGoogleのリリースしたVRペインティングソフト「Tilt Brush」はモーションコントローラーを筆のように扱うことでVR空間に絵を描くことが可能だ。動画では燃え盛る火山のような作品を制作している様子が伺える。
こちらはOculusの提供するアプリケーションで、VR空間で3Dモデリングやペインティングを楽しむことが出来る。ペインティングツールはTouchを通じて操ることが可能で、慣れた人ならば複雑な構造も制作することが出来る。
Youtubeには実際にOculus Mediumを使って制作した作品の動画をアップしている人や、メイキングなども公開されているので、興味がある方は参考にしてみるのも良いだろう。
Massless Penは3Dモデリングを手がけるデザイナー支援のために開発されたデバイスで、2017年度中の発売が予定されている。2Dモニターで3Dモデリングをおこなうのではなく、VR空間でペンを使ってモデルを操作することで、直感的なモデリング作業が可能となる。
参考URL:
VR SCOUT
https://vrscout.com/news/360-app-vr-graphic-design/
Relajaelcoco
http://relajaelcoco.com/index.html
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