- 週間ランキング
ロンドンを拠点に活動するデザイン、テクノロジー企業であるRoom Oneは、先週ドイツのアーヘンにて開催したEricsson’s Innovtion Dayにてデモ展示を行なった。
ヘッドセットを装着した人間の手の動きに合わせて、遠隔地にいるロボットアームが動く、というものだ。
ロボットに取り付けたカメラ映像がヘッドセットに伝送されるため、まるで自分がその場にいて、自分の手を動かしているかのような感覚で操作できる。
Room Oneは、この技術を医療現場で活用することを考えており、遠隔地からの手術や医療機関での教育で使用できる。
今回展示されたデモは、ロボットアームと、触覚フィードバックを搭載したグローブを5G回線によって接続することで、バーチャル空間に表示された腎臓を遠隔地から検査する、というものだ。
動画には、ロボットアームがヘッドセットの装着者の手の動きに併せてプラスティック製の臓器の模型を検査する様子を見ることができ、ロボットアームの触覚はヘッドセット装着者が身につけているグローブに触覚としてフィードバックする。
これによって、遠隔地で行われている手術の進行を、VRとハプティクスを用いることで、まるでその場にいるかのような没入感を伴って参加できるものだ。
いわゆるテレイグジスタンス(遠隔臨場感)を用いたこの技術では、医師が現場に直接足を運ばず手術を行なったり、遠隔地で行なっている手術に正確なアドバイスを与えることが可能で、これからの医療に大きな進化をもたらすものだ。
次世代高速通信である5G回線は、大容量データをやり取りするVRにとって普及の追い風になる。
Room OneのCEOであるMadhi Yahya氏は、インターネットが今後の社会の進化の原動力になると考えており、次のように語っている。
Room Oneは現在、医療を学ぶ学生がよりリアルな環境で手術の訓練を受けることができるプログラムをCGIを用いて開発しており、様々な業界の企業と提携することによって、医療を含む様々な領域に存在する問題を、VRを通して解決しようとしている。
イギリスのバーミンガムシティ大学はARを用いて、従来の医療プロセスを簡易化、効率化するアプリケーションを開発している。
ARは医療に様々なメリットをもたらし、たとえば医師が患者のデータを3Dで素早く閲覧したり、患者の臓器や骨格などを3Dデータ化して立体表示することができる。
これによって、医師はマイクロソフトのARデバイス「HoloLens」を用いて、患者のデータを複数の医師同士で共有することができれば、情報共有を効率的に行うことができる。
また、患者に症例の説明をする際に複雑な説明をする代わりに3DデータをAR表示しながら説明することで、より患者の理解度を高めることができる。
医療教育の現場では、3Dデータを活用することで学生がより実際の現場に近い環境で学ぶことができ、ARが医療にもたらすポテンシャルは大きい。
VRはメンタルヘルスケアにおいて効果があると言われており、とくに恐怖症やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療において効果があるという。
恐怖症やPTSDの治療では、患者の心に残る障害の原因になる情景を再体験させることで、少しずつその情景に慣れながら辛さを取り除く、という疑似体験治療を行う。
この疑似体験療法を行うにあたって、たとえば高所からの墜落や自動車事故など、患者の心に残る情景をよりリアルに再現するVRは大いに役立つという。
VRを医療教育に用いるメリットは大きく、シンガポールでは医学生教育にVRを活用する取り組みを行なっている。
シンガポールの医師や医療従事者は現在、コンテンツプロダクション企業と提携し、現場での訓練や教育において、より没入感の高くリアリティのある訓練環境を構築するために、VRを活用している。
従来の医療教育は膨大なリソースとコストが必要になるが、VRを用いることによって基本的な手術技術や、患者の命に危険を及ぼすような治療技術をバーチャル環境でシミュレーションできるようになり、コスト削減にもつながる。
参照元:VRScout
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.