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VR技術は国や世代を超えて注目されている技術だが、特にITやテレビゲームとともに育ってきた若い世代に訴える手段としてVRアプリケーションを使うのが効果的だ。
ユニセフは、彼らが戦う問題への意識を若い世代に高めるためのVRアプリケーションの制作をアムステルダム応用科学大学の学生からなるチームに依頼した。
prototype.ioに掲載された記事では、このチームがどのようにユニセフからの依頼に応えたのかを知ることができる。
ユニセフは難民や貧困といった現代の世界が抱える問題と戦っている団体だ。彼らはVR/ARやゲーミフィケーションを通して若い世代に世界で起きている問題や自分たちの活動を知ってもらい、さらには活動に協力してもらいたいと考えている。
この目的に加えて、ポイントとなるいくつかの項目も提示された。
チームはこれらの要望を満たすため、Unityを使ってVR空間を作り出す方法や3Dオブジェクトを作るMayaの扱いといったインタラクティブなVRコンテンツ制作に必要な知識を学んだ。
難民と彼らにまつわる物語を扱った、前向きなコンセプトが作品のベースとして浮かんできた。そして、彼らは難民の教育をメインテーマとすることでユニセフとも合意した。
難民は、その状況ゆえに教育に関して大きなディスアドバンテージを背負うことになってしまう。人々にそのことを知ってもらうのがアプリケーションの狙いだ。
チームはユニセフが提示した上記の要素を含むVRアプリケーションを開発した。
難民のような世界的な問題は、規模が大きすぎて「自分には関係がない」と思ってしまいがちだ。
そこで、彼らが作ったメインゲームは個人の嗜好を反映できるものになっている。
このゲームで、プレイヤーは難民キャンプに送る荷物に詰めるものを選ぶことになる。だが、箱に入る量には限界があるので全てのアイテムを入れることはできない。
プレイヤーは3つのアイテムから最も必要だと思うもの、送るべきだと思うものを1つ選ぶことを繰り返し、荷物の中身を決めることになる。
何がより重要だと考えるかは、それぞれの人によって異なるはずだ。
一方的にVR映像で難民の現状を伝えるコンテンツよりも、プレイヤーの操作に反応するインタラクティブなコンテンツの方がユーザの記憶に残りやすい。
彼らはVR空間とやり取りするための方法として、Leap Motionのセンサーを使った操作法を採用することにした。Leap Motionのセンサーを使えば、特別な装置やコントローラーを使わずに手でVRオブジェクトを操作できる。
コントローラーを使う方法ではどのボタンがどの操作に対応するのかを覚えなければならないが、この方法はより直感的だ。特に普段はテレビゲームをしないというユーザにとって、コントローラーを使うよりも親切と言えるだろう。
難民が生まれているという話を聞いたことはあっても、その詳細を知らないユーザも多いだろう。そこで、彼らはメインゲームの前にイントロを用意することにした。
このイントロでは、なぜ彼らが故郷を出て難民となったのか、どのくらいの期間旅を続けているのかといった情報がVR映像で伝えられる。
イントロ部分にゲームの要素はなく、映像とナレーションによって彼らの置かれた境遇を追体験し、共感してもらうことが目的となっている。
オンラインで共有できる要素として、メインゲームで作った荷物に選んだアイテムをFacebookでシェアすることができるようになっている。
VRアプリケーション自体はヘッドセットで利用するものだが、体験の終了時にシェアするかどうかを尋ねるダイアログが表示され、シェアすることを選べば自動的にパソコンの画面に共有のための画面が表示される。
ユーザが自分のログイン情報を入力すれば、Facebook上で自分が作った荷物の内容を伝えることが可能だ。
友人のことをよく知っていれば、彼または彼女が選んだものを当てることができるかもしれない。その投稿にはユニセフのVRスタンドの場所も追加されるので、そこに行けば自分自身がVRアプリケーションを体験して、友人のパッケージと中身を比べることもできる。
ユーザに募金を促すために、ユーザがメインゲームで選んだアイテムによって内容の変わる3つのミニゲームも開発された。
絵の具のパレットのようなクリエイティブ系のアイテムが多ければドラムゲーム、サッカーボールのようなスポーツ用品が多ければパドルボールゲームと、それぞれ別のゲームが用意されている。
それぞれのゲームでプレイヤーが多くのステージをクリアしたり、ハイスコアを出したりするほど提示される募金の金額も大きくなる仕組みだ。
といっても、ゲームをしたら必ず提示された金額の募金をしなければならないというわけではない。ゲームを終えるときに表示されるダイアログでプレイヤーが募金することを選べば、ユニセフのサイトが開く仕組みだ。
人気シリーズやキャラクターを使ったVRゲームも増えてきているが、同時に学生がVR作品を作る例も多くなっている。このユニセフのアプリもその一つだ。
面白くて長時間遊べるゲームではなくても、ちょっと触ってみて少額の募金をしようと思うユーザは多いかもしれない。アプリから直接募金しなくても、難民について知ることで何かが変わることもあるだろう。
社会を変える取り組みにおいても、VRの力は活用されていく。
参照元サイト名:Prototype.io
URL:https://blog.prototypr.io/how-we-created-a-vr-app-for-unicef-cf2c171f31f3
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