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各メーカーが展開するVRコンテンツのストアでのランキングや、過去に行われたVRユーザへのアンケートからはユーザがどういったVRコンテンツを利用しているのかを知ることができる。
その結果からすると、個人でVRヘッドセットを購入する目的として多いのはVRゲームを遊ぶため、VR映像を視聴するため、といったものだろう。
だが、VRは遊びだけでなく生産性を向上させるような用途に使うことも可能だ。業務での3Dデザインやミーティングはもちろん、VR空間でマインドマップを制作するためのツールまで販売されている。
マインドマップは既に日本でも知られた手法なので、名前を知っているという読者が多いかもしれない。
簡潔に言えばマインドマップとは、ある物事に関連するものを線で繋いだ図のことである。紙に描く場合にはキーワードやイラストをまとめることになるが、電子機器上でマインドマップを作成するツールを使えば映像や音楽といったメディアをマップ上にクリップすることも可能となる。
マインドマップについて詳しく知りたい場合は、書店のビジネス書コーナーを覗けば紹介している本が見つかるはずだ。この図を上手く扱うことができるようになると、会議内容のメモから勉強ノートの作成まで幅広い用途への応用が可能だ。
多くの人は、横書きのノートに文字を書くならば左上から書き始めるだろう。だが、マインドマップでは左から右へと順番に書いていくとは限らない。
自由な方向へ思考の枝を伸ばすためには、端ではなく真ん中あたりから書き始めるのが基本だ。
紙の中央に、大きめの四角形を書く。もちろん○や☆でも構わない。
これが「ノード」と呼ばれるものだ。マインドマップは、ノードと、ノード同士を結ぶ「コネクタ」あるいは「リンク」と呼ばれる線で構成される。
さきほどの大きめのノードには、中心となるテーマを書く。そのテーマは会議の議題や教科書の単元かもしれない。
その後は、テーマとの関連の強さによってノードの位置を考えながら項目を追加し、コネクタで結んでいく。キーワードAとキーワードBが似ているなら中央から見て同じ方向に並べ、関連が薄いならば異なる方向に配置していく。
テーマに近いノードは中央付近に大きく書く。そのノードから関連キーワードがさらに派生すれば、項目にぶら下げる形で枝を広げる。
方向性の異なるアイデアが出てきたときには、中央から別の方向へと直接枝を伸ばすか別のマップを作成するのが良いだろう。
マインドマップは内容を整理してまとめるのではなく、どんどん新しいアイデアを出していくような場面に向いている。これも有名な手法だが、ブレインストーミングのメモを取る方法としても有効だ。
中心となるテーマから360度自由な方向に議論を進めることができるマインドマップは、アイデアを制限してしまうことがない。
逆に最終的な結論を出さなければならない会議では、マインドマップを使うよりも他のツールを採用すべきだろう。マインドマップが適しているのは、プロジェクト初期の段階である。
マインドマップには、白黒でなければならないというルールはない。色ペンで塗り分けるのも、イラストを入れるのも自由だ。
プレゼンテーションなどで人に見せるための図として扱うならば、写真や図を使うのも良いだろう。
紙にマインドマップを描く場合には、何の制約もなく書けるのがメリットだ。好きな筆記具を使えるし、字の大きさも自由に変えることができる。
だが、紙ではできないことができるのがデジタルだ。ワープロソフトでマインドマップを作ることも可能だが、より使いやすい専用のマインドマップツールもある。
パソコン用のソフトやスマートフォン用のアプリはもちろん、ブラウザ上でマップが作成できるウェブアプリまで作られている。
実際にマインドマップを描いた経験があるならば、誰もが一度は「このノードを移動したい」と思ったことがあるのではないだろうか。他に関連するアイデアが出てきたから整理したいということもあれば、議論が盛り上がった結果として子ノードが増えすぎ、スペースが足りなくなるということもある。
コネクタを繋ぎ替えるくらいならばさほど手間がかからないが、子ノード・孫ノードの付いたノードを移動させるとなると時間がかかってしまう。
デジタルならばノードをドラッグするだけで簡単に移動させることができる。ソフトによっては、子ノードの位置まで自動的に整理してくれる。
ただ、移動後に子ノードが他の枝とぶつかってしまうこともある。必要ならば個別に手動で調整しよう。
『Noda』のスクリーンショットや動画でも、ノードの色や形は複数のものが使われている。紙で色を変えるのは面倒だが、デジタルツールならば一発だ。
さらに複数のノードをまとめて同じスタイルに変更することもできる。関連項目をひと目で分かりやすくする、便利な機能だ。
ノードの移動や色の変更は紙でも同じことができるが、これはデジタルツールでしかできないことだ。
絵や写真だけでなく動画や音楽をノードに関連付けたり、ウェブサイトへのリンクを埋め込んだりといった方法でテキストや図で表現できないアイデアも残すことができる。
デジタルツールで作られたマインドマップはデータなので、共有が簡単にできる。同じツールを使っていない相手には、画像ファイルやPDFファイルといった形式で書き出すことも可能だ。
ノードのキーワードをCSVファイルに出力したり、XMLファイルでの入出力に対応するツールもある。
デジタルでマインドマップを作るツールが登場しても、マインドマップは2Dのものだった。HTC ViveとOculusRiftで利用可能なVRアプリケーションである『Noda』は、マインドマップを3Dで作るためのツールだ。
決められた方向に書かなければならない文章と違って、テーマから360度自由な方向に枝を伸ばせるのがマインドマップの魅力だ。しかし、マップが2Dならば平面上にしかノードを作ることはできない。
Nodaを使えば立体的なマインドマップを作ることができるので、より自由にノードの相互関係を表現することが可能となる。
この特徴は、特に項目数が多いマップで威力を発揮するはずだ。
もちろん一般的な3Dツール(3Dモデルを扱えるペイントやCADのようなツール)で3Dマインドマップを描くことは可能だが、専用ツールのNodaを使った方が簡単だ。
Nodaはまだ早期アクセスの段階だが、今年の初めからSteam、Oculus Sotre、Viveportで販売されている。価格はそれぞれ980円、990円、115円だ。
なぜかViveportのみ他のストアに比べて価格が安い。また、Viveportが提供するサブスクリプションサービスの対象タイトルでもある。
3Dでマインドマップが作れることを除けば特筆すべき機能はないが、一般的なマインドマップツールが持っているべき基本機能は揃っている。
Noda自体は道具でしかないが、既にマインドマップを使いこなしている人ならばVRへの対応によって新たな可能性を開けるかもしれない。
参照元サイト名:Noda
URL:http://noda.io/
参照元サイト名:Steam
URL:http://store.steampowered.com/app/578060/Noda/
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