教育にARを取り入れることで効率化を測る取り組みが行われている。


教育系スタートアップLifeliqeが開発、提供するアプリ「Lifeliqe HoloLens」はARによって従来の教育では成し得なかった新しい学習システムを採用しており、試験的に導入された結果、生徒たちの理解度と教科に対する関心を向上させることに成功した。


Lifeliqeの取り組み


ARによって改善する生徒の学習率


4月から6月にかけて、6年生から12年生(11才から17才)を対象にして行われたLifelique Hololensを用いたパイロット教育プログラムが行われた。



プログラム後の調査によると、82.7%の生徒が授業の内容により強い関心を感じたと報告し、81%の生徒がLifeliqe Hololensを用いて学習したことで教科の理解度が深まったと報告し、プログラムに参加した教員は全員、生徒の理解度と授業への集中度の向上を認めたという。


学習用アプリの開発


Lifeliqe HoloLensではインタラクティブな3Dデータを表示し、ビジュアルを軸とした教育が可能になり、生徒は人間の身体の構造を、臓器や血管などの3Dモデルを通して深く理解することができる。


「実際に生徒たちの姿を見てみると、彼らはMRを使った教育のほうが、(同時に進めてきた)VR教育よりも好んでいるようだった」と語るのは私立中学Renton校にてDirector of Innovative Teaching and Learning Sciencesを務めるMichelle Zimmermanであり、ARが教育で大きなポテンシャルを発揮する分野であることが証明された。


Lifeliqe HoloLensについて



概要


アプリには合計10個のレッスンプランが用意されており、20種類のインタラクティブ可能な3Dモデルを閲覧することができ、それらはアメリカ次世代化学スタンダードと全米統一の学力基準であるCommon Coreに準拠しているため、このアプリから得られるものは刺激的なコンテンツだけではなく、全米で展開されている平均的な学習スタイルにも適応することができる。


扱う教科は様々であり、解剖学から化学、物理学から地質学などを扱っており、これらを通して生徒は人間の精神構造を調査したり、もしくは津波が教室に押し寄せる映像を体験することができる。


また、Lifeliqe HoloLensに収録されているデータはすべて内蔵のものなので、インターネット接続ができない環境でもこれらのデータにいつでもアクセスすることができる。


分野


・ライフサイエンス(人体生物学、動物生物学、古生物学)

・地球、および宇宙化学(地質学)

・自然科学(物理学、化学)

・幾何学、文化学


特徴


・K-12(幼稚園(KindergartenのK)から始まり高等学校を卒業するまでの13年間の教育期間)のSTEM教育向けの、20種類のインタラクティブな3Dモデル。

・インタラクティブな3Dによって教科された、K-12のSTEM教育向けの10のレッスンプラン。

・モデルのパーツが強調表示され、細部に至る学習が可能。

・すべての3Dモデルには入門的な説明が付属。


Lifeliqe HoloLensはフリーでダウンロードすることが出来、マイクロソフトの公式サイトからダウンロードすることが出来る。


VR/ARを教育に取り入れる試み


VR/ARを教育に取り入れる試みは日本も含め世界各地で実施されており、いくつかの例を挙げてみる。


シンガポールの小学校/医療機関でのVR教育



シンガポールではVRを試験的に小学校での教育に取り入れる実験を行なっており、4〜5年生を対象にした取り組みでは、生徒はシンガポール国内の様々な史跡をバーチャル空間の中で訪問し、ハイテク農業をはじめ、デザイン、建築工法をVRによって学習する取り組みが行われている。


VRを教育に取り入れるシンガポールの取り組み


また、同国では医療機関での教育にもVRを取り入れる実験がなされており、手術技術など習得に現場での経験が要される知識の教育においてVRが活用されている。


語学学習におけるVRの活用



ニュージーランドのスタートアップが開発する語学学習アプリ”ImmerseMe”は360度映像を活用して語学学習するもので、試験的に学校教育に導入されて成果をあげている。


VRで外国語を学習、ImmerseMeとは


まるで直接現地に赴いてそこの文化に五感で触れているかのように感じられるImmerseMeでは、プレイヤーは現地の言葉や風俗を直感的に吸収することが可能になる。


リアルタイムの遠隔授業



日本のN高ではMRを使用した授業システムが構築されており、生徒はHoloLensを着用して多人数での授業風景をシェアすることが出来、立体模型などを活用した授業も、データの追加だけで実施可能となる。


ドワンゴ、N高入学式で初導入 『HoloLens』多人数の同期コンテンツ配信システム「DAHLES」を開発


リアルタイムの遠隔授業や、その模様を記録しておくことで、教室という実空間を使ったタイムシフト授業など、対面教育と通信教育のメリットが活きた新しい教育のかたちを生み出すことができるとコメントされている。


参照元:UploadVR


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 ARを用いた教育は、生徒の理解度と関心を向上させる