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家庭用VRデバイスのメリットはいつでも人目を気にせずにVRコンテンツが楽しめることだが、裏を返せばそれはVR体験が孤独なものになってしまうということでもある。
一人でじっくり楽しむのに適したゲームもあれば、複数人で集まって一緒に遊んだ方が盛り上がる作品もある。世界中のユーザと遊べるオンラインマルチプレイも良いが、友達と集まって遊ぶのはまた別の楽しさがある。
個人で複数のVRヘッドセットを用意してマルチプレイ環境を構築するのは難しいが、VRアーケードならば気軽にVRゲームがローカルマルチで遊べる。
家庭用とはまた違ったVRデバイスの需要があるのがVRアーケードだ。VRで遊べる商業施設は大きく分けると2種類ある。
一つ目は、一般のユーザでも購入可能なHTC ViveやOculusRiftといったVRデバイスを貸し出すタイプのVRアーケードだ。VRデバイスとゲーミングPCが用意されたプレイ用のブースを時間貸しする業態で、イメージとしてはカラオケやネットカフェに近い。
体験できるコンテンツも、デバイスとコンテンツを購入すれば家庭で利用できるものだ。料金は国や地域によって幅広いものの、店舗を開設・維持するコストの低さから安価になる傾向があるだろう。
VRデバイスの購入を考えているユーザ候補や、VRを体験してみたいけれどデバイスを買うのは高すぎると考える消費者の利用が見込まれる。購入するコンテンツを迷っているユーザが複数のコンテンツを試すために利用するということもあるだろう。
もう一つのVRアーケードでは、使用するデバイスは商業施設向けの専用品であることもあれば、ViveやRiftであることもある。違うのは、オリジナルのVRコンテンツが提供されているという点だ。
他では遊べないVRコンテンツを楽しめるということに加えて、施設によってはロケーションVRの要素を取り入れていることもある。家庭用のデバイスで利用できるルームスケールVRよりも広い空間のトラッキングが可能で、ローカルマルチプレイにも適している。
広いスペースで、アサルトライフルのような特殊なコントローラーを使って遊べるのはロケーションVRならではだ。
こちらのVR施設はやや価格が高くなりがちで、時間当たりの金額を考えると映画やカラオケのようなエンターテイメントの数倍と高価なこともある。それでも多くの人が没入感の高いVR体験やオリジナルのコンテンツを求めて施設を訪れている。
家庭用VRデバイスが利用できる施設にも需要はあるが、ロケーションVRに対応するのは家庭用VRと差別化するためのシンプルな方法の一つだ。
人気のあるゴースト・バスターズのVRコンテンツを作成したThe Voidは、VR体験専用の施設を使って作品の世界に入り込めるVR体験を提供している。最近ではロシアに初めての施設をオープンしたAnvio VRも同様だ。
The VoidやAnvio VRではそれぞれの施設でしか体験できないコンテンツが提供されており、複数人で実際に広いスペースを歩きながらのVR体験が可能だ。どちらの施設でも、トラッキングされたコントローラーがVRでは銃や刀となる。
ロケーションVRのために専用の施設を建設すれば、VR空間とリアルを密接にリンクさせることができる。経験の質という点では非常に満足度の高いものになるだろう。だが、この方法には金銭的・時間的コストがかかるという難点もある。
VRデバイスや処理用のマシンに加えて、コンテンツに合わせた施設を用意しなければならないからだ。さらに言えば、新しいコンテンツを提供するのも難しくなる。デバイスは流用できるとしても、施設を大改装する必要があるからだ。
先に名前を挙げたロケーションVRを提供する企業のコンテンツは人気があるが、簡単に施設数を増やすことはできないようだ。まもなくオープンから1年となるThe Voidでも世界で3施設しか体験できる場所がなく、Anvio VRはまだ1施設だけだ。
Nomadicの方法ならば、新しく施設を建設する場合よりも費用が安く、時間も抑えることができる。
Nomadicは、既存の施設にロケーションVRを簡単に導入するためのモジュール方式を採用している。
同社の提供するスペースで、ユーザはバックパックPCを背負い、ヘッドセットを付けたまま移動することが可能だ。
赤外線発信機とカメラによって室内のユーザとオブジェクトがトラッキングされているため、VR空間にある椅子に座ればユーザ自身が椅子に座ることもできる。落ちているものに手を伸ばせば、リアルでもオブジェクトに手が触れるだろう。
Nomadicの方式であれば、映画館、ショッピングモール、カジノ、テーマパーク、ゲームセンターといった既存の施設をロケーションVRのための建物として使える。コストを削減でき、従来の方法よりも簡単に別のコンテンツ向けに作り変えることもできるようだ。
Nomadicはまだ特定の企業や施設との提携を発表していないが、2018年の第1四半期には初めて同社の技術を使用した施設をオープンさせることを目指しているようだ。
600万ドル(6.7億円)の資金を獲得したことで、その展開に弾みが付くことだろう。Nomadicの本拠地はカリフォルニアにあるので、初めての施設はアメリカだろうか。
参照元サイト名:Tech Crunch
URL:https://techcrunch.com/2017/06/12/nomadic-nabs-6m-in-seed-funding-for-its-modular-tactile-vr-system/
参照元サイト名:Nomadic
URL:https://nomadicvr.net/
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