バーチャルなものであれ遠隔の現実であれ、現実的のような感覚をビジュアルメインで体感させるのが現在のVRだ。


このため、現在VRが用いられるものは、ゲームや動画をはじめとして、不動産の内覧や教育など、ビジュアルが強い意味を持つものが多い。


そんな中、なんと保険ビジネスでもVRが活用されているという。


ビジュアル的なイメージと結びつきにくい保険ビジネスで、どのようにVRが用いられているのか?この記事でご紹介したい。


 


サービスを実感しづらいのが特徴!生命保険とは




保険とは、偶然に発生してしまう事故から生じる財産上の損失に備え、多数の人間が資金を出し合っておき、いざ事故が発生した人間には、その資金から金銭を給付するという制度。


その中で、人の生存や死亡といった損失を保証するのが生命保険だ。


こうした構造のため、消費者から見ると生命保険は効果が実感しづらいサービスといえる。


とりわけ、死亡保険であればt実際に保険が効果を発揮するのは加入者が死亡した時


それまでは、加入者からみると、効果を体感しないまま、前払いを続ける格好となる。


一般的な商品やサービスの大半が、購入して即座に効果を実感可能な事に比べると、かなり特徴的だ。


長期間、生命保険が営業手法として、女性営業マンによる対面営業を主力としてきたのは、こうした特徴のためだろう。


即座には効果が発揮されない生命保険というサービスを購入してもらうためには、消費者に将来の人生計画や不安を、具体的にイメージしてもらう必要がある


そのためには、消費者と営業マンとが対面し、個々の消費者の状況にあった形での営業トークが必須といえるだろう。


一方、具体的にイメージをさせるという点を強みにしているのが、バーチャルな世界を現実のように実感させられるVRだ。


ここに、保険ビジネスでVRを活用するポイントがある。


 


三井住友海上あいおい生命保険による医療施設VR見学体験



三井住友海上あいおい生命保険株式会社は、医療機関の施設見学を仮想体験できるというVRの提供を開始している。


見学できる施設は、ガンの先進医療技術のひとつである粒子線治療を行う医療機関の施設


ガンといえば、「日本人の2人に1人がかかる」というCMフレーズに代表されるように、我々にとって非常に身近な病だ。


しかし身近だからといって、我々がその治療の現場を知っているかというと、そうではない。


そんな中、このVRコンテンツでは粒子線治療を行う医療機関の医療施設と隣接する宿泊施設をVR映像で体感できる。


VRによってガンの治療の現場を実感することで、より具体的に将来のイメージができ、「いざという時にこういう医療を受けるため、保険に入っておこう」と、保険へ加入する意味が見出せそうだ。


 


襲い来る恐竜でリスクを実感!「1UP(ワンアップ)」PR用VRコンテンツ




住友生命保険の保険商品である「1UP(ワンアップ)」は、死亡保険ではなく、ケガや病気などで働けなくなってしまうというリスクに備えた生活保険


そんな「1UP」がプロモーションのために作ったVRコンテンツが「RiskySpot (リスキースポット)」。


「RiskySpot (リスキースポット)」は新宿駅で行われた体感型のイベントで、戦闘を繰り広げるエージェントや襲い来る恐竜などをVRで表現。


突発的に訪れるリスクをVRで伝えるというスタイルが取られている。


たいていの場合、ケガや病気になってしまうほんの数分前までは、ケガや病気のリスクを意識していないもの。


意識はしていないけど、意識しなければならない課題について考えるきっかけとして、VRは最適なソリューションといえるだろう。


 


VRとAIを使って保険アドバイザーを実現!PNBメットライフ




アメリカの保険会社であるメットライフの共同ベンチャー、PNBメットライフが提供するVRコンテンツは、これまで紹介した、「イメージを喚起させる」目的のものとは変わっている。


PNBメットライフによるVRコンテンツは、VR内でアバターが保険商品やサービスに関するアドバイスを行うというもの。


つまり、VRやAI(人工知能)を組み合わせ、デジタルな保険アドバイザーを作り上げようというわけだ。


この試みが普及すれば、そのインパクトは保険業界のみに止まらないだろう。


金融や医療など、専門家によるアドバイスがビジネスとなるすべての業界に取り入れられる可能性がある


 


社会の仕組みが変わっていく今後、ますます保険商品は重要に!?


働き方をはじめとして、様々な社会の仕組みが変わり始めている現在


今後、年金のあり方や社会保険のあり方が変わっていく可能性もゼロではない。


その一方で平均寿命は伸びているため、この先、リスクに見舞われる可能性は高くなる一方だ。


このため今後さらに、様々な保険商品が開発されていくことだろう。


筆者は大雑把であまりリスクを想定しない性格なので、個人的には、保険商品やAIによるアドバイスといった形でリスクについて教えてもらえるのはいいことだと感じている


保険によって万一のリスクを保証してもらえるのなら、なおさらだ。


もちろん、VRによってリスクを過大に煽って来るというのは勘弁してほしいが、生きていく上で人が気づきにくい…けど重要なリスクについては、是非VR技術を使って、自分ごととして実感できる形にしてほしい


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情報提供元: VR Inside
記事名:「 VRで普段目にしない医療現場や人生のリスクを表現!保険会社のVR活用事例まとめ