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手術と言えば怪我や病気を治すために行うのが基本だが、見た目を変えるために行う美容整形手術もある。肌を持ち上げて若々しく見せたり、二重まぶたにしたりといった日帰りで行える小規模なものから体重を大きく変えてしまう脂肪吸引まで、その内容は様々だ。
医療分野では医師による手術のシミュレーションにVRを使う例があるが、イギリスには豊胸手術の結果を事前に確認するためのツールとしてVRを導入したクリニックもあるという。このツールは、手術を受ける女性が胸にインプラントするシリコンパックの大きさや形状を選ぶ助けになると期待されている。
痛みや身体への悪影響を取り除くためにやむなく行う手術と異なり、美容整形は今よりも美しくなることが目的の手術だ。自分の身体で不満のあるパーツを大きくする、小さくする、あるいは形を変えるといった処置を行ってより理想的な外見を得ることを目指す。
バストアップに限らず、美容整形の問題は「やり過ぎる」ことだ。
病変部分を取り除けば、あるいは傷を塞げば終わる治療としての手術と異なり、美容整形に絶対的な終わりはない。どこで完成と判断するのか、終わりを決めるのは手術を受ける本人だ。
もちろん事前に医師や施設のスタッフによるカウンセリングも行われるが、本人はそのパーツに多少なりともコンプレックスを感じている。その状態で手術を受ければ、イメージが上手くできずに必要以上にいじってしまう可能性がある。
バストアップのためには、胸にシリコンパックなどをインプラントして大きくする。このインプラントには複数の形や容量(270cc、300ccなど)があるが、美容整形の専門家ではない一般の女性にとってそれぞれの違いは分かりにくい。
その結果、手術後に「大きすぎる」「不自然に見える」といった不満を持ってしまう可能性がある。場合によっては、一回り小さなサイズにするために手術をやり直すことになるかもしれない。複数回の手術には費用もかかり、女性の身体にも負担となる。
これを避けるために、VRによって手術後の胸を見ることができるツールが導入された。
VRを使えば、行ったことのない場所や現実には存在しない世界を体験することもできる。同じように、実際の自分とは違う人物になる経験も可能だ。
手術前の打ち合わせではインプラントの種類やサイズ、手術の内容を選ばなくてはならない。それぞれの結果をイメージするためのツールとして、VRは有効だ。手術後の身体を先に見ておけば、後から不自然さを感じることも少なくなるだろう。
これまでにも、CGによるイメージ画像やインプラントそのものの画像を直接女性に見せることは行われていた。しかし、タブレット端末や紙で見せられたCGを自分の身体でイメージするのは難しい。ましてやインプラントだけを見て、それを選んだ場合の結果を想像するのは不可能だ。
VRを使うことの利点は、CGで作られた身体を自分のものと感じられるところにある。VR空間では、様々な方向に用意された鏡を通して自分の身体を見ることができるようになっている。
あるいは、下を向いて直接自分の胸を見下ろしても良い。足元がどのように見えるか(選択によっては全く見えないかもしれないが)を見れば、より直感的に大きさがイメージできるだろう。
このVRアプリケーションは、美容整形におけるVR利用のパイオニアであるCrisalixと豊胸用インプラントブランドのSebbinが共同で開発したものだ。イギリスではチェルシーのMallucci Londonクリニックで初めて利用できるようになった。
今後は、他のクリニックでも手術の前に同じアプリを使って手術後のイメージを確かめることができるようになっていくかもしれない。また、豊胸以外の美容整形手術でも同様のアプリの需要はあるだろう。
治療としての手術と異なり、美容整形には標準となるものがない。同じ部分を変化させる手術でも複数の方法があり、それぞれに特徴がある。価格も統一されていないため、病院によって提示される価格が全く違うこともある。
こうしたアプリで手術の結果を想像できるようになれば、手術を受けるかどうかや使うインプラントの種類を選んで後悔することも少なくなるはずだ。クリニックや関連する器具のブランド・メーカーにとっても利用者からの評価に繋がるものなので、この分野におけるVR技術の導入は増えると予想される。
参照元サイト名:Daily Mail
URL:http://www.dailymail.co.uk/femail/article-4541962/There-virtual-reality-boob-job-goggles.html
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