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Masslessはカルフォルニアで開催されていたAWE(Augmented World Expo)で、自社開発の「MASSLESS Pen」を発表した。
このペンを使うことでユーザーはVR空間上の対象物を正確に指し、また実際にVR空間上に書き込めるようになる。
同じくAWEでは、AR空間への書き込みによってコミュニケーションをとるというコンセプトのアプリケーションとしては、「プロジェクトチョーク」が公開されていた。
直感的に理解しやすい形で相手にメッセージを送れるこのアプリは、複雑な指示や情報量の多い伝言を残したい場合に大いに役立つ。
「プロジェクトチョーク」が遠隔コミュニケーションに寄与する「書き込み用アプリ」であるに対して、今回紹介するのはデザイン設計などで大いに役立つ「書き込み用デバイス」。
MasslessのCEOであるJack Cohen氏が語るところによると、Massless Penは複雑で正確な3Dモデリングを誰にでも簡単に扱えるようにする可能性を拓く。
1つ目の理由は3DモデリングをVR空間上でおこなうこと、そのこと自体が生むメリットだ。
従来デザイナーたちはいつも、3Dモデリングをおこなう際には動作が遅くて時間のかかる2Dモニターを使わざるを得なかった。しかしVRを利用すれば、3Dモデリング作業はより直感的なものとなる。デザイナーは3Dモデルを回転させながら、モデルをより良い仕方で理解することが出来るようになるからだ。
そして2つ目の理由はMassless Penがペン型のデバイスであるということだ。公式サイトによれば、ペンは全長162mm、幅11mm、重さ25g。御覧の通り、ボールペンやシャープペンシルと比べてもそこまで大きく違わない寸法に仕上がっている。
周知の通りデザイナーのみならず、ほとんどの人がペンの扱い方を知っている。だからMassless Penを使うのにも特別なスキルは必要なく、誰にとってもこのデバイスは扱いやすい。
製図用ペンのようにしてVR空間で使えるというだけでなく、正確性と直感性、レスポンスの良さもこのペンの特長だ。
ペン先の精度は0.05mmにまで上り、加えてペン先の位置は1秒間あたり60回測定される。
また3Dモデルをバイブレーションを通じた触覚フィードバックによって把握することも可能だ。さらにOculusRiftやHTC VINEといった既存のHMDとの互換性も備えている。
もちろん遠隔地間でのコミュニケーションも可能だ。
こうした詳細からはMassless Penのことを、単なる「書き込み」を可能にするデバイスとして認識するのは誤りだと分かるだろう。
Massless Penはデザイナーらにとって、彼らの作業環境を強力にバックアップし、そして改変する、優秀なパートナーとなるポテンシャルを秘めているのだ。
上記のような内容のため、ターゲットとなる顧客層は3Dモデルを扱うプロダクトデザイナーやエンジニアだ。
言うまでもなくVRの特長は直感的な操作をユーザーが利用できる環境を整えることにある。Massless Penはその特長を最大限引き出し、具体的なビジネスの場で実現させることについては恐らく成功していると見てよいはずだ。
しかし「書く」、あるいは「描く」コミュニケーションツールの重要性は、こうしたプロフェッショナルの仕事だけに限定されるものではない。
たとえばFacebook Spacesでこうしたコミュニケーションが実装されたらどういう反応が起きるだろうか?
もちろんちょっとした伝言やチャットは文字や音声で十分かも知れないし、実際に流行るかどうかは分からない。けれども現実世界に肉薄したコミュニケーションが可能となる環境が整うことは確かだろう。
わたしたちの世界で、ちょっとしたアイデアを自分用のメモに記したり、相手に視覚的に分かりやすく提示するなんてことはごくごくありふれた光景だ。
その当たり前のことが、VR世界で出来るようになることの重要性は大きい。VR体験における、今後の「書く」「描く」コミュニケーションの進化に期待したい。
Massless Penは2017年中に発売される予定だが、価格情報についてはまだMasslessは公表していない。
グラフィックカード | NVIDIA GTX 1060 / Radeon RX 480以上の性能 |
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CPU | Intel i5-4590以上の性能 |
メモリー(RAM) | 8GB以上 |
ビデオ出力 | HDMI 1.3ビデオ出力との互換性あり |
OS | Windows 7 SP1 64 bitより新しいもの |
参照元URL:
Massless:
http://massless.io/
venturebeat:
http://www.augmentedworldexpo.com
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