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「Aryzon]とは、Google Cardboardのような段ボールでできたガジェットにスマホを差し込んでレンズを見ると、HololensのようなAR体験ができるARデバイスである。以下の動画を見ると、そのAR体験が一目瞭然である。
同デバイスは、クラウドファンディング・サイトKickstarterで2017年5月29日から$30(約¥3,300)からの出資で開発資金を募ったところ、たった1日で目標額の$25,000(約¥2,800,000)を集めることに成功した。
HololensライクなハイエンドなAR体験を実現する同デバイスには、その機能と低価格を両立させる工夫が随所に見られる。そうした工夫を以下にまとめていく。
同デバイスはスマホを使ってホログラフィックなARオブジェクトをを表示するのだが、当然ながらスマホ自体にはホログラム表示機能は実装されていない。
スマホからホログラフィックなオブジェクトを見るために、同デバイスはCardBoardのようなガジェットにスマホを差し込む。このガジェットにはレンズのほかに反射板が組み込まれていて、スマホに表示されたオブジェクトを反射板に写すことによって、透過性のあるARオブジェクトを表示しているのだ(上の画像参照)。
なお、スマホに表示するオブジェクトは専用のフリーアプリで作成することができる。専用アプリで作成されたオブジェクトは、表示用アプリを使ってスマホのディスプレイに写す。
オブジェクト・モデリングアプリを使えばオリジナルなオブジェクトを作成できるほか、CADデータを読み込むことが可能である。また、作成したオブジェクトをFBXファイル形式でエクスポートすることもできる。
同デバイスが実現するのはあくまでスマホによるAR体験であるという制約上、リアルな空間の検知のためにトラッキングカードが必要となる(上の画像参照)。このトラッキングカードは、製品購入時に同梱されている。しかし、専用アプリを使えば、トラッキングカードに印刷される画像をカスタマイズすることが可能だ。
同デバイスは、出資者に対して郵便物として届けられる。というのも、段ボールでできた同デバイスは、組み立てる前はレターセットのようにまとめられているからだ(下の画像参照)。
出荷時にはレターセットのようになっていることよって軽量化を実現し、その結果として送料を安く済ますことができる。また、素材が段ボールであることによって、$30という低価格を実現したのだ。
なお、組み立てるのはまさにGoogle Cardboardのように非常に簡単である。
同デバイスの視野角は左右方向に35°、上下方向に20°である。この視野角は左右30°、上下17°のHololensより広い。
同デバイスの今後の開発計画として、同デバイスに対応したARスマホアプリの開発環境をリリースする予定だ。そのほかには、ユーザーがモデリングしたARオブジェクトを共有するソーシャル・プラットフォームの開設も予定している。
Kickstarterには同デバイスのプロジェクトのほかにも、ARテクノロジーに関係するプロジェクトが多数存在している。
例えば、本メディアで以前に紹介した「ZapBox」は「Aryzon」と非常によく似たARデバイスなのだが、資金調達に成功している。
ZapBoxとAryzonの違いは、トラッキングカードの構成にある。ZapBoxは複数のトラッキング用マーカーを使うため、広い範囲でAR体験を可能としている。しかし、ZapBoxはAryzonのように反射板を組み込んでいないため、ARオブジェクトに透過性がない。
なお、Aryzonの出荷は2017年9月頃を予定している。HololensをはじめとしたハイエンドなARデバイスの製品版がまだリリースされていないなか、同デバイスのような気軽に本格的なAR体験ができるものは今後も開発されるのではなかろうか。
ARデバイス「Aryzon」のKickstarterページ
https://www.kickstarter.com/projects/aryzon/aryzon-3d-augmented-reality-for-every-smartphone?ref=user_menu
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