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VRペインティングツール、Tilt BrushやQuillを使用して制作を行うVRアーティストが増えてきた昨今。
Googleが運営する、VR作品を投稿・公開するプラットフォーム、“Tilt Brush Sketches”で興味深いゲームが行われている。
ルールは、アーティストが投稿したVRペインティングを別のアーティストが改変するというものだ。
つまり不特定多数のアーティスト達が作品をリミックスすることによって、1つの作品がまったく別のそれに作り変わる、というものだ。
VRScoutでは、とあるVRアーティストが制作したホットドッグのイラストを他5人のアーティストがリミックスした結果、それが動物へと変わり、悪役が登場し、やがて善と悪との闘いにまで発展する様子が取り上げられている。
1枚目は、何の変哲もないホットドッグのイラスト、Estella Tseの制作によるものだ。
そこにElizabeth Edwardsは手足と目玉を描き込み、ホットドッグはリスのような顔の、見たことのない奇妙な動物に変貌を遂げる。
3枚目、”Mr.ホットドッグ”の姿が消えて、風景画になってしまったーいや、 Danny Bittmanが川と森を描きこんだのだ。
よく見ると、画面中央、やや右の部分に小さくMr.ホットドッグの姿を確認することができる。(しかも頭数が増えている)
ストーリーが成立するためには悪役が必要であり、Jeremy Cowles氏は巨大で邪悪な「悪のホットドッグ」を描き込んだ。
そこに3Donimusは奥行きのある風景を描き加えた。
かくも巨大な「悪のホットドッグ」に対抗すべく、先ほどのEstella Tseは味方の数を増やすことにした。
それはホットドッグではなく、味方のテイター・トッツだ。
(テイター・トッツ=すりおろしたジャガイモを揚げた惣菜であり、そのカリっとした食感、小さい円筒形の姿が広く知られている。)
最後にAnna Dream Brushは、悪のホットドッグよりも遥かに巨大な、後光を纏い天空より降臨する「愛のホットドッグ軍団」を降臨させたところで、物語は幕を閉じる。
一連のリミックス作業は数週間に渡って続き、多くのVRアーティストが協働することによって生まれたこれら一連のストーリーラインは、Tilt Brush Sketchesの面白味を端的に表しているのではないだろうか。
4月より、Googleは3DアートギャラリーをWeb上でTilt Brush Sketchesという名で運営している。
コミュニティメンバーとして登録すれば、誰でも自身の作品をアップロードしたり、他者の作品をダウンロードしてリミックスすることができる。
そのため、作品はTilt Brush Sketchesにアップロードされた段階で、リミックス許可のライセンスが自動的に付与される。
作品はVRから鑑賞することも出来るし、Webブラウザから閲覧することも可能だ。
ユーザーは作品にLikeをしたり、ダウンロードしてリミックスをすることが出来、リミックス作品やオリジナル作品はプロフィールに表示される。
Tilt Brush Sketchesの大きな特徴は、ユーザー同士の作品のシェアやコメントなどを、VRユーザー以外の人々にも簡単に出来るように設計されている。
SNSに自身の作品や気に入った作品を投稿する際もリンクを載せるだけでよく、VRアートが多くの場で共有され、広まるような設計がされている。
VRがアートにもたらす影響だけでなく、こうしたプラットフォーム上のルールも、VRの普及や醍醐味を拡張する重要な要素になるだろう。
Tilt Brush Sketchesを土台として、多くのアーティストが自身のVR作品を制作、公開している。
上記に挙げたEstella Tseや3Donimusなどのクリエイターは、高品質でアイデアに富んだ作品を数多く公開している。
Out of this world. Like "Xenomorph"at https://t.co/Ea2VAc7uoq to view @estellatse's Alien in #TiltBrush.
—Tilt Brush (@tiltbrush) 2017年4月27日
普段、中々アートに接しない人や、アートというとどこか敷居の高さを感じて食わず嫌いになってしまう人も、VRはアートに興味を持つ良いきっかけになるかもしれない。
YouTubeにもクオリティの高いVR作品が、数は多くはないが公開されており、VRがアートシーンに及ぼであろう影響を垣間見せてくれる。
著名な作家の作品を立体化したものや、作家性を拡張した独自のVR作品なども公開されており、アート好きな人にとっても作品に対する新しい見方を発見するきっかけになるかもしれない。
参照元:VRScout
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