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あまり知られていないことだが、YouTubeでは2016年とされる「VR元年」より早い2015年から360°動画を視聴できた。そして、現在、YouTube自らが運営する公式チャンネル「バーチャル リアリティー」からは300を下らない360°動画を視聴することができ、チャンネル登録者数は2017年5月時点で200万人を超えている。コンテンツの質と量、およびユーザー数から見て、YouTubeは間違いなく世界最大の360°動画プラットフォームである。
もっともYouTubeで見ることができる伝統的動画の質・量に比べたら、「バーチャル リアリティー」の規模はさながら巨木に対する新芽といったところだろう。それゆえ、コンテンツとユーザーのさらなる拡大が課題となっている。
新規ユーザーを獲得するうえで問題となるのが、360°動画の拡散方法である。360°動画は、VRヘッドセットを装着して視聴するという特性上、複数のユーザーがいっしょに見るという体験ができない。見るときはいつも「たった一人」になってしまうので、なかなか他人にその魅力を伝えることが難しいのだ。
2017年5月17日から19日まで開催中のGoogleの開発者会議「Google I/O」において、360°動画の拡散をサポートするような機能がふたつ発表された。
ひとつめは、360°動画をテレビ画面で視聴できる機能だ。具体的には、同機能に対応したテレビのディスプレイからYouTubeにアップされた360°動画を視聴できるのである。
ところでテレビ画面は、当然ながらユーザーのアタマの動きに合わせて動いたりはしない。視線の移動は、360°動画をPCディスプレイから視聴するように、リモート・コントローラーを使って実行する。
同機能は数ヶ月以内にリリースされ、当初の対応テレビはAndroid TV、Samsung 2017 4KTV、LG 2017 4KTVであり、さらにXbox OneとPlayStation 4を使って視聴することもできる、とのこと。
発表されたもうひとつの機能が、「ソーシャル・ビューイング」機能だ。もっとも同機能は、Daydreamから利用できる「YouTube VR」でのみ実行できる。
同機能を実行すると、「バーチャル・ルーム」が利用できるようになる。このルームのなかでユーザー自身のアバターを動かすこともできるし、友だちのユーザーを招待することもできる。そして、アバターが集まったところで360°動画をいっしょに視聴することができるのだ(下の動画参照)。
バーチャル・ルームにはソーシャル・ビューイング機能だけではなく、アバターどうしが音声会話できるヴォイス・チャット機能も実装されている。もちろん、アバターのカスタマイズも可能だ。
以上のようなバーチャル・ルームおよびソーシャル・ビューイング機能は、2017年内のリリースを予定している。
以上に紹介したふたつの機能のうち、注目すべきはYouTube VRの「バーチャル・ルーム」である。というのも、同機能によって、YouTube VRこそVR史上はじめて「成功」したと言えアプリになる可能性があるからだ。
同アプリの「バーチャル・ルーム」は、例えば先月Facebookが発表した「Facebook Spaces」と比べたら、非常にシンプルな(もしかしたらチープな)ソーシャル機能でしかない。
しかしながら、Daydreamという潜在的ユーザーが多いプラットフォームを使っていること、そして、YouTubeにアップされた360°動画というユーザーにとって親しみやすいVRコンテンツをメインにしていることから、多くのファンを獲得するポテンシャルを秘めているのではなかろうか。
YouTube VRが「VRソーシャルアプリ」として成功しなくても、同アプリはスマートTVからの視聴機能とともに360°動画の普及に少なくない貢献をすることは間違いないだろう。
YouTubeにアップされた360°動画をスマートTVの画面で視聴できることを報じたVRScoutの記事
https://vrscout.com/news/youtube-360-video-living-room-tv/
YouTube VRのバーチャルルームで360°動画をソーシャル・ビューイングできることを報じたVRScoutの記事
https://vrscout.com/news/youtube-vr-social-avatars/
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