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TOKYO, Sep 1, 2022 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズは、欧米の食品・飲料企業の温室効果ガス排出量削減に関する調査「NET ZERO消費財バリューチェーン全体での取り組み」(以下、本調査)の結果を発表いたしました。本調査結果では、欧米の主要な食品・飲料企業が設定した温室効果ガス(GHG)排出量削減目標では、2015年のパリ協定およびSBTi (SBTイニシアチブ)によって定められた業界全体の目標を達成できないこと、また、企業は目標の達成に自信がないことが明らかになりました。
本調査は、EMEAと米国に拠点を置く食品・飲料企業235社・欧米の食品・飲料包装の大手企業13社が発表したGHG排出量削減に関する目標を分析し、食品・飲料小売企業、消費財製造業、原材料供給企業のサステナビリティおよびオペレーション担当幹部200名に対するアンケートも実施しました。
パリ協定遵守の2030年GHG削減目標達成は困難、企業側の目標設定は低めの30%未満とギャップあり
本調査によると、パリ協定の調印以来、食品・飲料業界のGHG排出量削減が進んでおり、業界のGHG排出量は約1%削減されています[1]。しかし、大手企業のGHG排出量削減目標をみると、仮にこれらの目標が全て達成されたとしても、2019年から2030年におけるGHG排出量削減は29%に留まり、パリ協定を遵守するための業界目標である38%[2]に対して約10%の削減が不足することが明らかになっています。また、同業界の原材料供給企業の49%、消費財製造業の36%、小売企業の31%が自社のGHG排出量削減目標を達成することに非常に自信があると感じており、企業の自信のなさを考慮した場合には、同期間での排出量削減は25%まで目減りする結果となりました。
GHG排出量の多い川下による排出量削減を含め、バリューチェーン全体での協業促進が鍵
企業のGHG排出量削減目標には、自社の排出量だけでなく、関連するバリューチェーンの上流・下流の企業による排出量も含まれています。しかしながら、バリューチェーン内の他社のGHG排出量削減に関して目標を達成できると確信している経営者は、原材料供給企業の27%、消費財製造業の13%、小売企業の4%と、どの分野においても30%未満に留まっています。企業の上流・下流のGHG排出量測定に懸念があることも、上記の結果につながっています。調査対象となった原材料供給企業のうち、下流部門でのGHG排出量(消費財製造業や小売企業による排出量)を正しく測定できていると感じている企業は34%に過ぎません。同様に、小売企業のうち、川上のGHG排出量(原材料供給企業や消費財製造業からの排出量)を正しく測定できていると感じている企業は、わずか19%、消費財製造業のうち、上流のGHG排出量の測定に成功していると回答したのは25%、下流のGHG排出量の測定に成功していると回答したのは32%となっています。
今回の調査では、バリューチェーンの川上にいくほど排出量が多いにも関わらず、直接の顧客が持続可能な商品に対してプレミアムを払うと考えている割合は、小売企業が92%であるのに対して、消費財製造業は77%、原材料供給企業は60%ということが明らかになっています。GHG排出量削減をより大きく前進させるためには、業界を超えた協力体制を強化することが重要です。
サステナビリティの目標にコミットした企業に明るい未来が待っている
更に本調査では、長期的に環境・社会・ガバナンス(ESG)目標を達成した上位企業と下位企業の間で、総株主利益率に劇的な差が生じ、EBITDA成長率にも明確な差があることが示されています。ESGに関するパフォーマンスが低い企業は、資本コストが割高になります。ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・スコアによると、ESGパフォーマンス下位企業の負債コストは平均してESGパフォーマンス上位企業の2倍以上となっています。一方、ESG投資には、引き続き資金が殺到しています。RBCキャピタル・マーケッツによると、昨年は1兆4340億ドル以上がESG株式ファンドに充てられ、2019年の2倍以上となりました。
今回の調査結果について、アリックスパートナーズの東京オフィスで消費財・小売業界を担当する矢嶋大貴は次のように述べています。「ネット・ゼロの実現に向けて食品・飲料業界のGHG排出量削減をより大きく前進させるためには、ビジネスにおけるESGの重要性を理解した上で、バリューチェーン全体で協力的かつ統合的なアプローチを採用しながら各企業がGHG排出量削減の一端を担う必要があります。一般に原材料費は原価に占める割合が高く、できる限りコストを抑えることが求められますが、今回の調査結果からGHG排出量削減に取り組む原材料供給企業との適切な利益分配が脱炭素に向けての鍵になるとみています。今後は経済・環境の両面でより持続可能なサプライチェーンを築くことが重要です。」
本調査の詳細はこちらからご覧いただけます。
日本語: https://docs.alixpartners.com/view/13089983/
英語: https://features.alixpartners.com/net-zero-cpg-supplier-actions-report/
1. 国連食糧農業機関によって測定された食品・飲料業界の排出量に基づき、アリックスパートナーズが分析
2. SBTiによって設定された目標。地球の気温上昇を1.5度に抑えるために食品・飲料業界全体が必要とする目標値
「NET ZERO消費財バリューチェーン全体での取り組み」調査について
- ワールドベンチマーク協会のアライアンスの「2021年食品・農業ベンチマーク」で評価された、EMEAと米国に拠点を置く235の食品・飲料メーカーの上場企業が行ったGHG排出量削減目標を分析
- 世界の食品・飲料包装会社トップ13社の目標を分析
- 食品・飲料小売企業、消費財製造業、原材料供給企業のサステナビリティおよびオペレーション担当幹部200名を対象としたアンケート調査を実施
-- 対象企業:原材料供給企業105名・消費財製造業69名・小売企業26名のエグゼクティブ(マネージャーからC-Suiteレベル)
-- 対象国:米国、英国、フランス、ドイツ、スイス
-- 調査日:2022年4月13日から4月25日
アリックスパートナーズについて
1981 年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界 20 都市以上に事務所を展開。日本オフィスの設立は 2005 年。日本語ウェブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/
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