マサチューセッツ州ボストン - 2021年4月22日 -昨今、資源の再利用をベースとするサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方に注目が集まっており、プラスチックの原料としては再生可能な資源やバイオベースの資源の活用が強調されています。しかしながら、この理想主義的な未来を実現するためには、高度なリサイクル技術やバイオベースのプラスチック製造キャパシティ拡大など、新技術への大規模な投資が必要となります。

そこで、ラックスリサーチは新しい報告書、『The Sustainable Plastics Roadmap: Recycling, Bioplastics, and Alternatives(持続可能なプラスチック普及へ向けたロードマップ:リサイクル、バイオプラスチック、代替品)』にて、従来型および先端リサイクル技術、バイオベースのプラスチック、その他代替材料が今後どのように普及するのか、持続可能なプラスチック市場の予測を行いました。

単一利用のプラスチックは特に消費者や規制当局の間で関心が持たれている分野であり、幅広い産業の企業が持続可能なソリューション展開を目指しています。プラスチック生産を手がける企業のみでなく、自社製品にプラスチックを使用している企業も、自社の将来的な事業戦略を策定するためには、持続可能なプラスチックの今後や代替品市場の見通しを理解する必要があります。

この報告書にて、ラックスリサーチは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリプロピレン(HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)という6つの主要なプラスチックの製造に関連する新技術やアプローチがもたらす影響を調査し、従来のプラスチック生産に対する4つの主要な脅威(リサイクル、バイオベースポリマー、規制、紙や金属のような代替材料)の影響を取り上げています。また、ラックスリサーチの予測モデルでは、政策やインフラ面での地域的な差異を強調する4つのシナリオに焦点を当てました。

ラックスリサーチのリサーチディレクター、Anthony Schiavoは次のように説明しています。

「プラスチックに対するマイナスの消費者心理、規制動向、世界的な持続可能性への取り組み、という3つの要因を受け、プラスチックの持続可能性という問題が注目されるようになりました。ラックスリサーチの調べによると、2030年時点で、プラスチックの15%がサステイナブルなものとなる見込みです。この背景には、主にプラスチックの世界的なリサイクル規模が3倍増加すること、そして最も問題のある種類のプラスチック製品を禁止しようという強力な規制的措置が取られることが挙げられます。そのため、化学品メーカーは、今後、石油由来のプラスチック需要の停滞に直面するでしょう。これには、熱分解油なども含まれるため、プラスチック分野にて継続的な成長を見出すためには、リサイクルに投資することが不可欠です。

ラックスリサーチによる最もアグレッシブな普及を予測したシナリオにおいても、プラスチックの持続可能性には未解決の課題があります。より現実的な予測シナリオでは、リサイクルや代替品の活用において大きな進歩を見せているにもかかわらず、プラスチックの持続可能性の目標には届かないことが予測されています。

さらに、プラスチックの種類によってもリサイクル規模には違いが見られ、世界的なPETリサイクル率は60%に達する可能性がある一方で、PPまたはPSの直接的なリサイクルの進展は非常に小さいと予想されます。また、廃棄物の収集と分別の難しさや、熱分解の不採算性など、実務上の主な課題は2030年にも残ると予想されます。持続可能なサプライチェーンを独自に構築するべく素早く行動を起こす企業は今後もプラスチック市場で成功を収めますが、産業全体がこのような問題を解決するのを待つ企業は取り残されていくことになるでしょう。」

このリサーチの詳細については、レポートのエグゼクティブサマリーをダウンロードしてご確認ください。

ラックスリサーチについて

ラックスリサーチ(本社:米国ボストン)は先端技術の事業性評価・動向調査を専門とする米系調査会社です。世界の大手企業、政府系機関、コーポレートベンチャーキャピタル、大学、スタートアップ企業を主なクライアントとし、先端技術が生み出す事業機会特定をサポートしています。

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記事名:「 持続可能なプラスチック:2030年時点でプラスチック製造量の15%以上を持続可能なプラスチックが占めることに(ラックスリサーチ調べ)