TOKYO, Jul 3, 2020 - (JCN Newswire) - NECは、国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下JAMSTEC)とともに、海洋プラスチックごみの動態や環境への影響を評価するためのマイクロプラスチック計測手法の高度化に向けて、AIによる画像認識技術を活用して高速かつ自動的に海水や前処理を施した堆積物からマイクロプラスチックを計測するシステムを開発し、JAMSTECの研究開発を支援しました。(注1)

背景

近年、大きさ5mm以下の微小なプラスチック粒子であるマイクロプラスチックによる海洋汚染が世界的に拡大しており、生態系への影響だけではなく、食物連鎖を通じた人体への悪影響が懸念されています。海洋マイクロプラスチック汚染の実態を正確に把握するためには、各海域におけるマイクロプラスチックの数・大きさ・種類を分析することで、流出源を推定し、流出経路・到達地を予測する必要があります。

これまでの調査手法は、海水や前処理を施した堆積物などを目の細かい網ですくい、その中からマイクロプラスチックを顕微鏡などを用いて一粒ずつ手作業で拾い出して分析するのが⼀般的でした。しかし、これには膨大な時間と手間がかかるだけでなく、一般的に用いられている網の目をすり抜ける300um以下の微⼩な粒⼦を過小評価してしまうという課題がありました。

JAMSTECは、海洋科学技術の総合的な研究を行う国立研究開発法人であり、従来から海洋マイクロプラスチックを検出する分析技術の研究開発に取り組んでいます。今回NECは、最先端AI技術群「NEC the WISE」(注2)のディープラーニング技術を搭載した「RAPID機械学習」(注3)による画像認識技術で、マイクロプラスチックを高速かつ高精度に検出・分類する仕組みを提供しました。あわせて、蛍光顕微鏡で撮影したマイクロプラスチックが試料中を流れる動画から、AI連携のための画像を抽出してデータ化するソフトウェアも提供しました。

具体的には、JAMSTECのこれまでの研究開発の知見を活かし、海水や前処理をした堆積物など試料中のマイクロプラスチックを蛍光色素で染色し、検出に最適な速度で流しながら、蛍光顕微鏡で動画を撮影します。次に、今回開発したソフトウェアにより、この動画からマイクロプラスチック一つひとつを画像データとして自動抽出します。さらにAIによる画像認識技術を活用することで、毎分60個の処理速度で、サイズや形状を自動的に分類・集計することが可能となりました。これにより、これまで手作業で行なってきたマイクロプラスチックの検出を、自動化・高精度化することを実現しています。

今後この計測手法が確立されて普及することで、マイクロプラスチック汚染の実態解明が進み、適切な排出規制の立案に貢献できることが期待されます。

NECは従来から、JAMSTECのスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を利用した「沿岸災害シミュレーションシステム」の研究開発(注4)や、AIを活用した微化石の正確な鑑定・分取技術の確立(注5)などに取り組んできました。今後もAIをはじめとした先進技術の活用によって社会全体の環境負荷低減に貢献する「環境経営」を通して、持続可能な社会の実現を目指します。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://jpn.nec.com/press/202007/20200703_01.html

概要:日本電気株式会社(NEC)

詳細は www.nec.co.jp をご覧ください。



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情報提供元: JCN Newswire
記事名:「 NEC、海洋研究開発機構とともに、AIを活用した海洋マイクロプラスチック計測システムを開発