オンライン学習プラットフォームのリーダーである「Coursera, Inc.」は、質の高い教育へのアクセスを向上させ、日本の学習者や教育機関の需要に応えるための新たな取り組みを発表。

都内で報道関係者向けの記者発表会を開催した。

 

学習プラットフォーム「Coursera」AIを活用した新機能を導入し日本本格上陸へ

 

Courseraとは

Coursera(コーセラ)は、2012年にスタンフォード大学のコンピュータサイエンス教授であるアンドリュー・ン氏とダフニー・コラー氏によって「世界クラスの学習への普遍的なアクセスを提供する」という使命のもと立ち上げられた、世界最大規模のオンライン学習プラットフォームだ。

2023年12月31日時点で、世界で1億4200万人以上の登録学習者を抱えている。

300以上の大学および業界パートナーと提携しているだけでなく、コース・専門分野が非常に豊富。世界中の政府・教育機関・企業において、データサイエンス・テクノロジー・ビジネスといった様々な分野でCourseraが活用されている。

 

「生成AIによってあらゆる人が仕事への影響を受ける」

この度Courseraは、日本の学習者や教育機関の需要に応える新たな取り組みとして、AIを用いた様々な機能を実装し、日本へ本格上陸する。

それに伴いCourseraの概要についてや、Courseraへ新たに実装された機能を説明する記者発表会を都内で開催した。

今回行われた発表会では、Coursera CEOのジェフ・マッジョカルダ氏、同社のグローバルコミュニケーション担当 バイスプレジデントのアルナブ・シンハ氏が登壇。

アルナブ・シンハ氏はイベントの冒頭挨拶にて、

「デジタルトランスフォーメーション化が、世界中で物凄い速さで普及する中、オンライン学習というのはスキルギャップを解消し、AI全盛の現代で日本がリーダーシップを発揮出来る人材を育成していく上で、とても重要な役割を果たすことになると考えています。」

と説明し、オンライン学習の重要性について説明した。

その後登壇したジェフ・マッジョカルダ氏は、生成AIなどのテクノロジーが台頭したことで、多くの人々の仕事に多大な影響が出てくるだろうと話している。

ジェフ氏はまず、生成AIの登場によって「テクノロジーが仕事に対してどれだけの影響を与えるのか」を説明。

「毎日同じような仕事をして低賃金で働いている、所謂”学歴が低い人たち”が勤める割合が多い(単純労働の)仕事は、かなりの割合でテクノロジーによって自動化されてしまうだろうと考えられてます。逆にあまり反復性がなく毎日違った業務を行うような仕事は、AIによって自動化されない可能性が高くなります。」

と述べている。

ジェフ氏によると、労働者の半数以上がこれから1年から2年の間に大きな影響を受けるという。

さらに、2016年頃に(AIなどの)テクノロジーによって影響が出てしまうと考えられていた人のチャート(影響する人の順位)が、2023年にはChatGPTの出現によって大きく変化している。

これまであまり影響を受けないだろうと思われていた「大卒の労働者」が最も影響を受け、逆に低学歴の労働者はあまり影響を受けないと考えられているのだと説明。

「テクノロジーによって仕事へ影響を受ける可能性は、学歴関係なく誰もが同じ条件となりました。だからこそ、新しいスキルをどうやって学ぶかが重要になってくるのです。」

とコメントした。

 

日本向けのAIを活用した新機能

今回の発表会で紹介された機能は、どれもAIを上手く活用し導入された機能だ。

例えば「日本語字幕」による学習講座の翻訳は、およそ4,400講座にも及んでいる。

これにより、これまで英語のみで提供されていた、

・DeepLearning.AI 「誰もが使える生成AI(Generative AI for Everyone)」
・ミシガン大学 「みんなのプログラミング(Programming for Everybody)」
・IBM 「データサイエンスとは何か(What is Data Science?)」

上記のような一流の講座を、全ての日本人が利用することが出来るようになる。

実際に会場でデモも見せてもらったが、動画だけでなくUI部分も比較的自然な日本語に変換されていた。

この講座の翻訳は、これまで人力で行っていたため時間もかかり、高価だった。しかし生成AIを活用することにより、大幅なコストダウンに成功。これにより、多数の講座を迅速かつ安価に安価翻訳することが出来たと説明していた。

そして、一人ひとりに最適化された「コーチ」機能の導入により、生成AIを搭載したバーチャル学習アシスタントが、パーソナライズされたフィードバックを共有してくれる。

ジェフ氏がイベントで紹介したデモでは、講座内で出てきた「Softmax Regression(ソフトマックスリグレッション)」という、AI分野で使われる専門用語について質問。これに的確に回答してくれる様子を見せていた。

ジェフ氏によると、コーチ機能は「ChatGPT-4が埋め込まれているようなもの」だと解説。

質問をすると、通常のChatGPTのようにインターネット上で回答を見つけるのではなく、講座内を参照して答えを出してくれる仕組みだ。

また、2013年から講座を提供している東京大学より、大学総合教育研究センター副センター長 兼 高等教育推進部門長を務める栗田佳代子氏が登壇。

「今回の発表は凄くエキサイティングで、AIが非常に上手くコンテンツの中に入っていくような形を見せて頂きまして、開発側としては、そうしたものをより活用した講座開発を行っていきたいと思います。東京大学としては、やはり大学ならではの講座というのを社会貢献の一環として提供していきたいと思っておりますので、ぜひそうした形で連携を進めていければと思っております。」

と、今回の発表内容に期待を寄せるコメントを行っていた。

報道陣からの質問で「どれくらいの人に使ってもらいたいか」と聞かれ、ジェフ氏は

「これまで見てきた中で、高品質なコースが日本語化されると本当に人気が出るんです。現在日本では77万2000人の方が登録学習者としていらっしゃいますが、それが数百万人となってくれることを期待しています。」

と、これまで言語の壁によって学ぶことを諦めていた多くの方に、利用して欲しいとコメントしていた。

 

AIを駆使した様々な機能によって、日本語しか話せない日本人でも学びやすくなったCoursera。

より自然な日本語への変換・コーチ機能などにより、外国語が出来ない日本人でも学習しやすくなっている点は嬉しいポイントだ。

逆に日本語で作った講座が海外の多数の言語に翻訳されて、より多くの方へ届けることも今回の新機能で可能となっている。

Coursera興味がある方は公式HPを一度ご覧になってみてはいかがだろうか。

URL:https://www.coursera.org/

情報提供元: 電脳反響定位(エコーロケーション)
記事名:「 Courseraが本格上陸!日本の学習者へ向け新たに導入されたAI機能を披露する記者発表会を開催