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「日本を支える中小企業から活気を取り戻したい。日本人の中でも若い力や外国人労働者の方々の力を借りて、日本の99%を占める中小企業を中心に社会を活性化していきたいと考えています。今回のコンクールにはベトナムの方から655作品も集まり、本当に驚いています。」
とコメントした。
授賞式では、最優秀賞(1作品)・優秀賞(5作品)・入選(4作品)・特別賞(2作品)の合計12名・12作品が選出。
【入選】
・トリン・ティ・ミン・トゥーさん(真ん中)
・ホアン・ティ・クイン・アインさん(右)
ラオ・ティエン・キムさん
ブイ・ヴァン・ジャンさん
入選者は上記4名。いずれも655作品から選ばれた方々で、社会人として日本で働いている方や大学生の方まで様々な経歴の方が表彰されていた。
【優秀賞】
グエン・ゴック・サンさん
グエン・ティ・トゥ・チャンさん
ファン・クイン・ウインさん
ブイ・カイン・リンさん
グエン・ド・アン・ニェンさん
優秀賞を受賞したのは上記の5名。いずれの読書感想文も素晴らしい内容だったそうで「簡潔で深みがあった」「読書感想文のお手本のような内容」「飛び抜けている」と絶賛されていた。
今回の12名中、受賞した男性はグエン・ゴック・サンさんただ一人。主人公である広岡浅子さんが女性であり、現代の女性の社会進出に貢献したこと、その中で男女格差といった様々な障害があったこと、これらの問題がいまだベトナムでは身近にあるという点で、女性の作品に熱が込められた力作が多くなったのかもしれないと審査員は語っている。
その中でサンさんは広岡浅子さんの夫である広岡信五郎さんにフォーカス。「女性が社会進出する上で身近な男性の理解・支援が不可欠」という別の視点での読書感想文という点で評価されたほか、言葉の表現力・選び方等が素晴らしかった点などから受賞に至ったと審査員はコメントしていた。
【特別賞】
ホアン・マイ・チャンさん(左)
ヴォー・ティ・ミー・リンさん(右)
そして惜しくも受賞は逃したものの、レベルが高く審査は最後まで難航した程だったのだとか。
そこでその中から「日本の中小企業で働くベトナム人の方々を応援する」という観点で、技能実習生のホアン・マイ・チャンさん、ヴォー・ティ・ミー・リンさんの2名を特別賞として表彰した。
【最優秀賞】
ダン・ジェウ・ヒエンさん
そして映えある最優秀賞に選ばれたのは、ダン・ジェウ・ヒエンさん。ベトナムの複数の日系企業で働きながら、昨年より新潟の事業創造大学院大学にて修士課程で入学。卒業後は日本で就職するべく大学で勉強中だ。
他人の文化を尊重する文化が根付いている日本に驚いたというヒエンさんは、
「広岡浅子の漫画について、私の考えと感想文を高くご評価頂き誠にありがとうございます。本作を読んで一番感動したのは、フィクションではなく実際にいる人物のお話という点です。浅子さんは女性だけでなく、(男性も含めて)皆が学ぶべき方だと思います。この物語がベトナム人に広まっていくことを祈っています。」
とコメントした。
審査員を務めた、ベトナム文学翻訳家 元大東文化大学国際関係学部国際文化学科准教授の加藤栄さんは、最優秀賞を1つに絞るのが本当に大変だったと説明しつつ、
「ヒエンさんの作品は(本当に1作品に絞れるのか?)という不安を吹き飛ばしてくれました。最初に読んだ時から“ちょっと違うな、光るものがあるな”という印象を持っていましたが、何度も読み直して最初の直感が確信に変わった。」
と絶賛。さらに課題図書のメッセージを咀嚼・消化し、借り物ではない自分自身の凝縮した言葉で表現していた点も良かったと受賞に至った評価点を挙げ「今回の受賞を機に故郷の女性たちの地位向上のため頑張って欲しい。」と激励の言葉を送った。
また、ベトナムとの国交樹立50周年という節目の年。加藤さんは、
「国交樹立で関係が確立したものの、民間人同士の交流は当時はまだ殆どなかった。それが1990年代頃から変わっていき、会社の同僚や学校の同級生にベトナムの方がいることも珍しいことではなくなりました。今回のコンクール成功も、そうした日越の親密な関係が出来たからこそ収められたのだと思います。」
とイベントを締めくくった。
大同生命のコンクール担当者の方に話を伺うと、今回広岡浅子の漫画をベトナム語に翻訳するという大同生命120周年の記念企画に付随する形で、本イベントの開催が企画されたのだとか。
「今回折角(広岡浅子の漫画を)ベトナム語に翻訳するのなら、ただ配るだけでなく“相互のコミュニケーションを取るためにも何か出来ないか”と始まったのが本コンクールです。ベトナムには“読書感想文”という文化はないそうなのですが、関係会社をはじめ多くの方の尽力があって作品が集まり、このような盛大な授賞式を開催することが出来ました。今後も様々な形を取りつつ、中小企業の人手不足という社会課題の解決に向け、ベトナムの皆さんともコミュニケーションを引き続き取っていければという思いを今日、強くしましたね。」
とコメント。コンクール受賞者たちのコメントや晴れ晴れとした笑顔を見て、担当者の胸中に熱いものが込み上げている様子だった。
ベトナム人にとって、地方の農村部では広岡浅子さんが経験した男女格差等の習慣が未だ残っているところもある。
実際に今回受賞した方の中にもそういった境遇にいた経験がある方もいた程だ。
ベトナム人に本作品が広まって欲しいという願いと共に、中小企業とベトナム人労働者双方のコミュニケーションをとるべく活動する大同生命の活動にも注目していきたい。
大同生命:https://www.daido-life.co.jp/
読書感想文コンクール特設サイト:https://www.asako-contest.com/