株式会社リンクアンドパートナーズは2024年8月、「企業のIT投資の実態調査」の結果を発表しました。調査対象は、従業員数50名以上の企業経営者1,006名であり、企業がIT投資にどのような期待を寄せ、どの分野に注力しているか、また投資を実施する際に直面する障壁について明らかにされています。

調査によると、7割以上の企業が今年度にIT投資を行っており(図1)、IT予算も昨年度より増加傾向にあります(図2)。

図1(出典:リンクアンドパートナーズ)
図2(出典:リンクアンドパートナーズ)

特に「サイバーセキュリティ」への投資が最も注目されており、全体の49.4%がこの分野に予算を投じています(図3)。これに次いで、クラウドサービス(46.9%)や人工知能(AI)(36.5%)への投資が進んでいることが示されています。

図3(出典:リンクアンドパートナーズ)

IT投資によって企業が実現したいことの1位は「業務プロセスの効率化」(49.0%)であり、デジタル技術を活用して業務の効率を向上させることが企業にとって重要な課題となっています(図4)。さらに、コスト削減(39.7%)やサイバーセキュリティの強化(39.3%)も主要な目的として挙げられ、企業はデジタル化を進める中で、効率性やセキュリティを強化し、競争力を高めることを目指しています。

図4(出典:リンクアンドパートナーズ)

一方で、IT投資を検討、実施する際に直面する主な障壁として「初期導入コストの高さ」(35.6%)が最も大きな課題として挙げられています(図5)。また、「予算の制約」(24.4%)や「社内のITリソース不足」(19.3%)も企業の投資を阻む要因となっています。これらの障壁を乗り越えるためには、IT投資の効果を示すためのROI(投資利益率)の明確化や、予算管理の効率化、ITリソースの拡充が重要です。

図5(出典:リンクアンドパートナーズ)

企業のIT投資は今後も継続的に増加すると予測されており、特にサイバーセキュリティやクラウドサービス、AIといった分野に対する注力が続く見込みです。また、IT投資による業務効率化や生産性向上が企業の競争力を強化するため、引き続きIT投資が企業成長の鍵となるでしょう。

全体として、今回の調査からは、IT投資が企業のデジタル化を推進し、持続可能な成長を実現するための重要な手段であることが再確認されました。ただし、初期導入コストやリソース不足といった課題にも取り組む必要があることが示唆されています。

執筆:熊谷仁樹

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 IT投資分野の1位は「サイバーセキュリティ」