リーダーはチームを統制するするルールや決まり事を明確に定め、全員に順守させる役割を担います。このルールがチームの仕事に価値をもたらします。では、どんなルールを定めるべきか。どのようにチームに浸透させるべきか。どのように価値を創出すべきか。ここでは、リーダーが備えるべき「道天地将法」の1つで、規律を守ることを意味する「法」の意義を考えます。【週刊SUZUKI #122】

リーダーとして成功し続けるために必要なことの1つが、「道天地将法」の「法」です。「法」は、規律を意味します。つまり兵法でいえば、戦で勝つためには規律をきちんと守るべきことを表しています。

プロジェクトを主導するリーダーにとって「法」とは、業務を進める際のルールや決まり事を意味します。社内外の多くのメンバーが関わるプロジェクトでは、こうしたルールの厳密さがプロジェクトの成功を左右します。ルールを守らないメンバーが一人でもいればリーダーはチームを統制できず、プロジェクトは失速します。ただし、厳密なルールはメンバーの自主性を奪いかねません。メンバーの積極性を損なわず、かつチームとしての一体感を生み出すルールを検討することが必要です。

一方、プロジェクトに価値を生み出すプロセスにも「法」の考えが当てはまります。プロジェクト推進を通じて自社や顧客、社会に価値をもたらすためには、ルールに沿ったプロセスづくりが不可欠です。社内外からどのようにアイデアを集め、有望なアイデアを事業化へ導くのか。事業の価値をどのように創出し、競合の事業と差異化させるか。これらを検討する際の進め方に「法」の考え方を持ち込みます。これにより、プロジェクトをスムーズに進められるようになります。

このとき描いた進め方が、価値を生むビジネスモデルとなるのです。どんな人に価値を提供するのか、具体的にどんな価値を提供するのか、どのような方法で価値を提供するのかといった具合に、「法」を駆使することで具体的に何をすべきかに落とし込めるようになります。リーダーは価値を創出する際、何を考えるべきかをルールで明示することが必要です。さらに、利益をどう生み出すか、どんな顧客を想定するのか、どんな活動を実施するのかなど、価値と関連する事柄を洗い出し、それらをビジネスモデルとして定義します。このビジネスモデルがプロジェクトメンバーの共通認識となり、目指すゴールをイメージしやすくするのです。

あなたはリーダーとして、基準や決まり事なしにプロジェクトを主導していませんか。規則や規律をメンバーと共有していませんか。価値を生み出すビジネスモデルを描けずにいませんか。これらが不十分なら、あなた自身に「法」の考え方が根付いていないのかもしれません。リーダーとして成果を出すには「法」を重んじることが大切です。

【リーダーの心得 その30】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 リーダーは規律となる「法」を定めよ!