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リーダーにとって何より欠かせないもの、それが仲間です。難題に立ち向かい、共にゴールを目指す仲間を集めることがリーダーの役割といっても過言ではありません。では仲間を集めるには何が必要か。信頼関係を築くにはどんな姿勢で臨むべきか。ここでは、リーダーが備えるべき「道天地将法」の1つで、仲間を意味する「将」の意義を考えます。【週刊SUZUKI #121】
リーダーとして成功し続けるために必要なことの1つが、「道天地将法」の「将」です。「将」は、将軍を意味します。つまり兵法でいえば、戦で勝つためには人を集めるべきということを表しています。
プロジェクトを主導するリーダーにとって「将」とは、多くの仲間を集めて力を結集することを意味します。そのためにはプロジェクトに関わるメンバー一人ひとりと信頼関係を築き、お互いが協力し合える関係になることが望まれます。
とはいえ、中には非協力的なメンバーもいるでしょう。思うように信頼関係を築けないメンバーもいるでしょう。そんなときでもリーダーは対話を続け、信頼関係を築く糸口を探らなければなりません。わずかな対話で無理と決め付けず、しつこいくらいに対話を重ねます。相手がなぜ非協力的なのか、なぜ不信感を抱いているのかを対話から探り、解決策を提案して相手が納得する結論に帰着できるようにします。
多くの仲間を集めることにも取り組むべきです。プロジェクトメンバーに限らず、社内外から協力的な仲間を集います。プロジェクトに直接関わらない人も含め、リーダーの考えや姿勢に賛同する人脈を形成することに注力します。プロジェクトの成功に直接影響しない人脈なんて無意味、と思う人がいるかもしれません。しかし、こうした協力的な仲間が新しい仲間を呼び、たくさんの仲間の輪を形成するのです。難題に直面したりトラブルに見舞われたりしたとき、この人脈が必ず助けとなります。相手の立場や経験、スキルにとらわれず、一人ひとりと良好な関係を築こうとする姿勢が大きな輪を生み出すきっかけとなります。
仲間を集めて大きな力を生み出すには、何よりリーダーの魅力が問われます。「このリーダーに協力しよう」と思わせる魅力を示し続けることもリーダーには求められます。普段から夢を語り、ポジティブな姿勢を示すべきです。毅然とした態度で周囲の手本となるべきです。こうしたリーダーシップを発揮できる人こそ、魅力にあふれているのです。
あなたの周りに「将」はいますか。プロジェクトを成功させるため、一緒に苦労する人は集まりますか。自分自身の魅力を磨いていますか。これらの問いに「はい」と答えられる人の周りには、自然とたくさんの仲間が集まるようになるのです。
【リーダーの心得 その29】
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。