リーダーは周囲のメンバーを気遣い、一人ひとりの可能性を広げることに注力しなければなりません。メンバーの成長こそが、事業の成長にも寄与するのです。ただし、このとき大切なのが、メンバーの目的と会社の目的を一致させることです。一致させない限り、双方の成長は見込めません。では、リーダーはメンバーの可能性を広げるために何をすべきか。何に注意すべきか。リーダーの役割について考えます。【週刊SUZUKI #116】

リーダーは目的達成のために業務を遂行する傍らで、常に周囲のメンバーに目を行き届けなければなりません。トラブルに直面するメンバーに解消策を提案したり必要なアドバイスを送ったりと、メンバーの成長を前提としたサポートを心掛けるようにします。

このとき、メンバーの可能性を広げるためのサポートに徹するべきです。同じ業務ばかり繰り返させるのではなく、そのメンバーにとって難度のやや高い業務を割り振ることも必要です。業務を通じて日々成長する機会を与え続けるようにします。これまでの業務とはまったく異なる業務に就かせるのも有効です。過去の経験やノウハウが通じない別業務に従事することで、新たな考え方や取り組み方を学ぶきっかけになります。日々の業務に新鮮さを加味することで、メンバーの可能性は無限に膨らむのです。

もっとも、自社が目指すビジョンや目的と異なる方向に成長させるのは望ましくありません。あくまで前提は、「会社の成功に寄与する成長」であるべきです。「自社の目的を達成するため、メンバーはどんな可能性を広げればよいのか」という問いと乖離しない可能性を模索するようにします。

メンバーごとのの特性や強みと会社の目的やビジョンを照らし、双方にとってプラスに作用する可能性を引き伸ばすようにします。もし双方の目的が一致しなければ、会社にとっては目的を達成しづらくなるし、リーダーにとってはプロジェクトの成功さえ危うくなってしまいます。メンバーにとっては自社でのキャリアップが難しくなり、転職を検討せざるを得ない状況に追い込まれるかもしれません。

自社の成功に資する可能性を持ったメンバーが増えれば増えるほど、大きなエネルギーを持つチームを組成できるようになります。そのエネルギーこそがチームを前進させ、困難なプロジェクトを成功へ導くのです。そのためにもリーダーは、メンバー一人ひとりの可能性を広げられるようサポートに注力しなければなりません。

「人の可能性は無限」とよく言われます。この言葉に背き、メンバーの可能性の芽を摘み取るようなサポートしかできない人にリーダーは務まりません。無限の可能性の中から、各自に最適な可能性の芽を育めるようにすることがリーダーの務めです。

【リーダーの心得 その24】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 リーダーはメンバーの可能性を広げることに注力せよ!