リーダーを務めていると、対立や衝突、妨害などの“壁”に必ずぶつかります。多くの人を巻き込む立場ゆえ、こうした状況は避けて通れません。では、数々の壁をどう乗り越えるべきか。リーダーに求められる姿勢とは。困難な状況を突破するための心構えについて考えます。【週刊SUZUKI #106】

「こちらの案の方が断然いい」「その意見は違う」などのように、チームをまとめるリーダーの前にはさまざまな意見の対立が見られます。メンバーの意見をまとめ、結論を出すこともリーダーの役割の1つです。

とはいえ、すべてのメンバーが納得する合意形成を容易に図れるわけではありません。自分の提案が通らず、納得できないメンバーがいるのも事実です。中には自分の考えを曲げず、リーダーの結論に異議を唱え続ける人もいるでしょう。

こうした場合でもリーダーは毅然とした態度を示すべきです。2つの案が対立し、どちらか一方の案が適切と判断するなら、折衷案を模索すべきではありません。「チームの良好な雰囲気が壊れてしまうのでは」「一枚岩だった団結力に亀裂が生じそう」などを懸念してはなりません。チームを最終ゴールに導くために必要な判断なら、一切妥協すべきではありません。

周囲の意見に流されることなく決断するには、自身の強い信念が必要です。その信念を貫き通す勇気も必要です。「これが正しい」「この考えが絶対だ」という自身が思う信念に基づく決断は、たとえ間違った決断だったとしても後悔を残しません。自分が大切に守る信念が、難しい決断を後押しするのです。

上長や経営陣への「忖度」ももちろん不要です。こうした大人の事情をチームに持ち込めば、リーダーとしての信頼はたちまちに失われてしまいます。チームが目指すゴールにも当然たどり着けなくなるでしょう。リーダーはそれだけの覚悟を持ち、チームを前進させなければなりません。ゴール到達を最優先に考え、あらゆる阻害要因を徹底的に排除しなければなりません。

リーダーは自分の中で絶対に譲れないことを持つべきです。「こんな言動は許さない」「こんな提案は却下する」といった具合に、自身の判断基準を設けるようにします。状況に応じて許したり許さなかったりと、言動がぶれないようにすることが大切です。場当たり的な対応はリーダーとして不適切です。

曖昧な姿勢を示すのも望ましくありません。判断に迷うケースであっても毅然とした態度で結論を導き出します。メンバーはこうしたリーダーの姿を見ています。適切な判断力に期待しています。その揺るぎない姿勢がチームに勢いをもたらすのです。

【リーダーの心得 その14】

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 どんな妨害があっても信念を貫く勇気を持て!