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リーダーとして部下を率いる際に求められること。その1つが、部下を思いやる姿勢です。さらに部下と感情を共感することも必要です。リーダーが部下に寄り添うことの大切さと、喜びや怒りを共感することの必要性について考えます。【週刊SUZUKI #105】
さまざまな人が集まるチームを統率するリーダーには、メンバー一人ひとりに寄り添う姿勢が必要です。メンバーがどんな難題に直面しているのか、何に悩んでいるのか、どんな仕事を楽しいと感じているのかなど、一人ひとりの感情に応じた解を示せるようにすることがリーダーの条件です。
メンバーの作業の進捗を把握するだけでは不十分です。対話を通してメンバーの気持ちを理解するだけでも不十分です。大切なのは、相手の気持ちに共感することです。メンバーが苦しいと感じているなら、リーダーも一緒にその思いを汲み、苦しいと感じるべきです。メンバーがうれしいと感じているなら、リーダーも何がうれしいのかを汲み取り、一緒に笑顔になるべきです。リーダーには、メンバーと同じ感情になる姿勢が求められます。
このような行動を情動的共感と呼びます。メンバーの感情を一方的に受け取るのではなく、その感情に至った経緯を含めてリーダーも同じ感情になるようにします。こうしたメンバーへの寄り添いが、チームを結束させるのです。全員でゴールに向かって突き進めるようになるのです。
リーダーが一緒に笑ったり悲しんだりすることは、メンバーにとっては「自分のことを理解してもらっている」と思う契機になります。この関係が円滑なコミュニケーションを醸成し、チームワークを高めることにつながります。
もっとも、メンバーのどんな感情にも共感すればいいわけではありません。メンバーが理不尽なことを理由に不満を漏らしているなら、公平な判断に基づいて正さなければなりません。メンバーの感情に寄り添う一方で、その感情が適切かどうかを見定めることもリーダーの務めです。相手の感情に一方的に流されないようにすることも必要です。
もしメンバーが感情を表に出さなければ、リーダーとの間に壁をつくっているかもしれません。感情を意図的に閉ざしているかもしれません。そんなときは、何気ない対話を繰り返します。会話の間から読み取れる些細な感情を探り、メンバーの気持ちに気付くようにします。真剣に対話を重ねれば、メンバーの気持ちをきっと探り出せます。そのとき、一緒に共感できるかどうかがチームワークを左右します。
【リーダーの心得 その13】
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。