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リーダーは大きく立派な夢を目標に掲げるだけでは不十分です。周囲を巻き込む夢を描くなら、いつまでに叶えるのかといった「時期」を明確にすることが大切です。期限を設けた夢にはどんな効果があるのか。具体的にどんな期限を設けるべきか。夢を描くときに必要な「時期」について考えます。【週刊SUZUKI #101】
チームを鼓舞し、前進させるカギを握るのは、リーダーが語る夢です。リーダーがどんな未来を描いているのかを周囲に共有することで、チームの結束力や推進力を育めるようになります。
もっとも、チームのために役立つ夢は、内容さえよければいいわけではありません。大切なのは、夢をいつ叶えるのかという「時期」です。「会社をこう変えたい」「社会課題をこのように解決したい」という夢がどれだけ具体的でも、いつまでに成し遂げるのかが不明瞭では周囲から共感されません。チームを結束させる手段にもなりません。「自社を3年後にはこんな姿に変えたい」「社会課題の5年後の解決を目指す」といった具合に、夢を達成するまでの期日を明確にします。曖昧な夢を明確な目標に置き換えることで、周囲の意識は大きく変わるのです。「自分がやらなければ」という意識を呼び起こし、一人ひとりに実践的な行動をもたらすのです。
3年後や5年後といった時期は、それまでに何をすべきかを考えるきっかけにもなります。「1年後にはここまで進めておかないと」「2年後にはこれを変えないと」などの具体的な計画を立てられるようになります。5年先の夢でも、1年後や2年後に何をすべきかがイメージできるため、夢を実現させる可能性を引き上げる効果も見込めます。私たちが普段取り組む仕事と同じで、仕事を完了するまでに必要なタスクを洗い出すことが夢にも必要なのです。
夢をただの憧れで終わらせないためには、明確な時期を設定した夢を描くことが大切です。どれだけ壮大でどれだけ魅力的な夢を描いたとしても、その夢を達成できなければ意味はありません。周囲のメンバーも「リーダーなら夢を必ず叶えてくれる」と期待するから、その夢を叶えることに協力しているのです。
「いつまで」という条件付きの夢が、あなたの覚悟を引き上げます。漠然とした日々を充実したものに変えてくれます。抽象的で曖昧な夢ではなく、期限付きの現実的な目標を設定することがリーダーには求められるのです。
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。