リーダーたる者、何を目指すのかを分かりやすい言葉で示せるようになるべきです。ゴールが明確なほど、チームのモチベーションは上がるし、ゴールに歩み続けられるようになります。では、明確なゴールを周囲にどう示せばよいのか。具体的にどう明確であるべきか。リーダーが示すゴール像について考えます。【週刊SUZUKI #94】

チームのミッションを果たすためには、メンバーの力を結集させることが必須です。リーダーはそのために明確なゴールを示さなければなりません。明確なゴールを示すためには自らの使命に立ち返り、あらゆる角度から考え抜き、誰もが成し得たいと思えるゴールを描かなければなりません。私が成し得たいゴールではなく、私達が成し得たいゴールとなるように、何度も考え尽くすことが求められます。

さらに大切なのは、ゴールの明確化です。チームとして何を目指すのか、ゴールを具体的に定義することが必要です。チームはどんな社会課題に取り組んでいるのか、顧客のどんな問題を解消しようとしているのかを考え、チームのゴールを言葉と数値で明確に示せるようにします。ゴールは、目的と目標で示す必要があります。目的とは、言葉や絵で表すことができるイメージであり、目標とは、達成売上や納期など数値で表せるものです。この目的と目標をゴールとして意識させることが、メンバーの自発的行動を導き出します。

このときもっとも大切なのは、ゴールへの意識をメンバーに浸透させることです。メンバーが一度納得したゴールでも、時間の経過とともに、その意識は低下していきます。リーダーは、何度もゴールを示し続け、さまざまな角度から繰り返し説明を続け、メンバーのゴール達成のモチベーションを上げ続けなければなりません。メンバーの脳裏に、常に明確で鮮明なゴールが設定されたとき、チームはまとまります。メンバー一人ひとりが自発的に、何をすべきかの優先順位も決め、最短距離でゴールに突き進めるようになります。

さらに、状況に応じてゴールを見直す柔軟さも必要です。想定外の出来事がゴール達成を困難にすることは十分考えられます。リーダーは、常にゴールを見直し続け、ゴールの見直しを行った際には、はじめから、メンバーへの説明と浸透を行わなければなりません。常に、メンバー一人ひとりがやりがいを持って業務に取り組めるか。こうした点を踏まえたゴールを描き、明確にし、浸透し続けることが、リーダーとして必要不可欠な行動なのです。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 リーダーとは、ゴールを示し、メンバーに浸透させる人