人は失敗すると、ミスを隠そうとしたり「まぁいいか」と流したりしがちです。しかし、失敗した経験を糧として次に活かすべきです。糧に変えない限り、自身の成長は見込めません。では、失敗を糧に変えるにはどんな姿勢が求められるのか。失敗をどう受け止めるべきか。失敗との向き合い方について考えます。【週刊SUZUKI #84】

失敗するということは、結果や成果以上に大きな価値をもたらします。そのとき学んだ教訓は、今後生きていく中で役に立つものばかりです。失敗には、自身を成長させるための知見やノウハウがぎっしり詰まっているのです。

失敗を自身の糧に変えるには、失敗から目を逸らさないようにすることが大切です。「この手法は失敗したから覚える必要はない」「この取り組みで失敗したので、次回からは採用しない」と、すべてを否定してはなりません。失敗したことをきちんと整理し、失敗の中でも何が悪かったのか、どんな点が悪影響を及ぼしたのかなどを洗い出すようにします。失敗をきちんと検証し、次回以降の教訓を見つけ出すことが大切です。こうした検証をせず、「失敗からは何も得るものはない」と考えるようでは成長なんてあり得ません。失敗を恥ずかしがらず、真正面から向き合うことが重要です。

失敗を簡単に許さないようにすることも大切です。「失敗したのは大した問題ではない」「仕事への影響は軽微だったので失敗を気にしない」と、失敗を軽視すべきではありません。どんなに小さな失敗でも重く受け止めるべきです。失敗した原因は何かを徹底的に追求し、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしなければなりません。原因究明せずに失敗したことを放置すれば、必ず同じ過ちを繰り返します。失敗から何も学ばないなんてことはあってはありません。どんな些細なことでも、失敗から学ぼうとする貪欲さを持つべきです。

失敗したことに対し、厳しい目を向けるようにします。徹底的に検証すればするほど、たくさんの教訓を得られます。成功した取り組みを検証しても得られない教訓がそこにはあります。失敗でしか得られないことを学ぶという意識で接し、そこから成功するためのヒントを見つけ出すことが大切です。

失敗を簡単に許してしまうような人は、大きな成長を見込めません。失敗した裏側に潜んでいる成功への教訓を見つけ出せないからです。失敗をどれだけ良い経験に変えられるか。どれだけ成長へのチャンスと受け止められるか。こんな考え方で失敗と向き合うことで人は成長するのです。失敗の受け止め方次第で、これからの成長度合いは変わるのです。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 自分をすぐ許してしまう人は大して成長しない!