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何かに取り組んだとき、人は成果や結果を求めるもの。決して悪いことではありませんが、本気でやり抜いたどうかに目を向けることも大切です。その過程にこそ、自身を成長させる糧や教訓が詰まっているのです。では、どんな姿勢なら本気でやり抜けるようになるのか。取り組むときに覚えておきたい心構えについて考えます。【週刊SUZUKI #79】
仕事の成果や結果を評価する成果主義が根付きつつある中、自分の成果や結果だけを求める人が増えています。貪欲に成果を求めるのは決して悪いことではありません。しかし、成果や結果を出すまでの過程はどうだったのか、自分はどう行動したのかに目を向けることも必要です。その過程に、人が成長するために必要な教訓が詰まっているのです。
取り組んだ過程を振り返るときに大切なのは、本気でやり抜いたかどうかです。成果や結果より、本気で最後までやり抜いたかを評価すべきです。このとき、評価するのは自分です。厳しい目で自身の行動を振り返り、最後まで本気でやり通せたかどうかを評価します。もし最後までやり抜けたのなら、自分自身を最大限褒め称えるべきです。「自分ってすごい!」「よく最後までやり通した!」と、自分を肯定してください。この自己満足感を持つことが、自分を大きく成長させます。前にも増して本気で物事に向き合えるようにしてくれます。
周囲の仲間が褒めなくても、自分自身で「すごい」と思えることが大切です。このポジティブな考え方が自信となり、物事に臆することなく挑もうとする姿勢を育みます。消極的な言動をなくし、チャレンジする意欲の本気度も高めてくれるのです。こうした姿勢で行動すれば、人より多くの教訓や糧も得られるようになります。
例えば社会人になって勉強を続ける人の中には、真剣に取り組む人とそうでない人がいます。会社から「勉強しろ」と言われて受動的に取り組む人と、自ら目標を立てて能動的に勉強する人に大別されます。もちろん成長するのは、能動的に真剣に取り組む人です。ただし、中には結果が伴わない人もいるでしょう。しかし、自分事として本気で取り組む過程そのものに価値があります。1分1秒を惜しんで勉強した日々、仕事の合間を縫って勉強時間を捻出した生活こそが、取り組み続けたその人に成長を呼び込むのです。
勉強に限らず、物事に真剣に取り組む社会人はどれだけいるのでしょうか。誰に言われるでもなく自ら行動し、やり抜こうと努力し続ける人は、尊敬に値します。自分を少しでも成長させたいなら、真剣に取り組むことを模索し、行動に移すべきです。最後まで真剣にやり抜いたとき、あなたはその過程から多くの学びを得るのです。
後悔し反省すれば、人は多くを学び、成長するきっかけにもなるでしょう。しかしそこには、本気で全力を出し切っていない自分がいることを忘れてはなりません。後悔や反省の前に、まずは本気で取り組むこと、余力を残さず全力で立ち向かうことが何より大切です。一片の後悔を残すことなく全力で取り組めるかどうか。この行動が自分を高みに誘います。より高いレベルで向上し、大きな成長をもたらすのです。
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。