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安全な道と険しい道。どちらに進みたいかを問われたら、多くの人が安全な道を選ぶことでしょう。しかし、それでは大きな成長は見込めません。なぜ険しい道なら成長を見込めるのか。人はなぜ、安全な道ばかり選んでしまうのか。成長をもたらす行動について考えます。【週刊SUZUKI #73】
人は行動を起こすとき、「ダメだったらどうしよう」「やっても無駄かも」などと消極的な考えに陥りがちです。言い訳ばかり考え、行動するのを諦める人も珍しくありません。よくない考えが頭の中を埋め尽くし、行動自体を恐れてしまう人は多いと感じます。
しかし、行動を恐れてはいけません。不安がらずに、まずは行動を起こす最初の一歩を踏み出すべきです。その一歩を踏み出さない限り、人はいつまで経っても成長しないし、成長する機会すら得られないと自覚すべきです。行動を起こすための最初の一歩は、それだけ重く価値があるのです。
とはいえ、人は無難な道を選択しがちです。安全で確実な選択肢を選ぶ人の方がむしろ多いのではないでしょうか。失敗したり無駄な労力を使ったりするのが嫌だと考える人は多いのが現実です。
しかし、無難な道は人の成長を阻害します。無難な道にはトラブルも壁もなく、これまでの知識や経験を駆使すれば十分乗り越えられてしまいます。こんな道を歩んでも新たな教訓は得られないし、何の経験にもなりません。過去の自分が知り得ない知識やノウハウを駆使しなければ歩み続けられない道こそ、人を大きく成長させます。安全で確実な道を選んだあなたは、成長する機会を逸していると自覚すべきです。
過去に経験済のプロジェクトと未経験のプロジェクトのどちらかに参画する機会が仕事であったら、これからの自身のために後者を選ぶべきです。経験済みのプロジェクトに参画すれば、ミスなく成果を得られるでしょう。しかし、そのプロジェクトで新たな教訓は得られません。新たな実績にもなりません。ミスなくやり遂げられることより、新たな知識や経験を得られるかどうかに目を向けるべきです。その挑戦する姿勢が、あなたを大きく成長させるのです。未経験のプロジェクトを自ら選び、苦労して成し遂げたとき、あなたは必ず成長します。
安全な道ばかり歩かないでください。難しく険しい道をあえて選んでください。たとえ苦しくても、その選択があなたを成長へと必ず誘います。こんな考えを常に持つことができれば、恐れずに行動への一歩を踏み出せるようになります。
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。