挑戦を高いハードルと思いがちな人は少なくありません。自分には無理と思い込み、挑戦しない理由ばかり考えてしまう人が目立ちます。そもそもなぜ、挑戦を怖がってしまうのか。挑戦意欲を維持できないのか。挑戦を阻害する要因について考えます。【週刊SUZUKI #68】

挑戦するか、挑戦しないか。その決断を下すのは自分自身です。覚悟さえ決めれば、その瞬間からでも挑戦は始められます。決して難しいことではなく、挑戦は誰にでもできるのです。「挑戦するんだ!」という強い気持ちだけで、人は行動を起こすことができるのです。

一方、挑戦を阻害するのも自分自身であることを忘れてはなりません。「新規プロジェクトに参画したが、つらいので止めたくなった」「新しいことにチャレンジしたが、どうもモチベーションが上がらない」などのような自身の捉え方次第で、挑戦はいつでも止めることができてしまいます。最初に抱いた覚悟を初志貫徹できるかどうか。挑戦を成功へと導くには、強い意志を持ち続けなければなりません。

とはいえ、人は自分を信用しないものです。誰もが途中で息抜きしたり、弱音を吐いたり、怠けたりする自分を知っているはずです。そんな自分が強い覚悟を本当に持ち続けられるのかと、自身に疑念を抱いているに違いありません。挑戦する覚悟を決めても、実はその裏で「お前に本当にやり遂げられるのか?」と、誰もがもう一人の自分と葛藤しているはずです。きっと誰しもこうした葛藤を経験したことがあるのではないでしょうか。ただし、これは特殊なことでは決してありません。誰もが備える、自分を信用できないという人間の習性なのです。

では、こうした人間の習性を克服するには、どうしたら良いのでしょうか。それは、もう一人の自分がいるのを常に理解することです。挑戦しようとする気持ちがある半面、挑戦を諦めたくなる気持ちが芽生えるのもまた人間の習性です。つまり、自分だけが弱いわけではないのです。もし諦めたくなったら自分の弱い側面を受け入れつつ、もう一人の自分に耳を傾け、その都度覚悟を決め直すしかありません。何度でも挑戦し直すのです。この気持ちの切り替えを繰り返すことで、やがて挑戦するのが習慣化します。

人の感情は常に移り変わります。挑戦を諦める気持ちが一度芽生えたら、みるみると悪いことばかり考えてしまうこともあるでしょう。しかし、それもあなた自身です。こんな自分を客観的に受け止められるようになれば、気持ちはぐっと楽になります。「翌日になれば、挑戦しようという気持ちが再び強くなっているかも」と余裕を持って考えられるようになるはずです。ぜひ、マイナスの感情に引きずられることなくプラスに考えてください。この切り替え1つで挑戦は持続し、成果や結果という形であなたに実績をもたらします。このとき人間として、大きく飛躍できるようになるのです。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 挑戦を阻害するのは、自分を信用できない人間の習性