仕事では、これまで未経験の業務に関わることが珍しくありません。こんなとき、経験や実績を理由に断るようではいつまで経っても成長しません。では、仕事で新しいことに取り組むときに大切なことは何か。挑戦を受け入れるためにはどんな心構えが必要か。挑戦するときに欠かせない「自分の意志」の大切さについて考えます。【週刊SUZUKI #67】

「これまで関わったことのない業務だが、新たなプロジェクトに参加したい…」。過去の経験や実績にとらわれることなく、未知の分野に飛び込もうとする意欲は称賛に値します。新しいことに真正面からぶつかる勇気や精神が、自身を大きく成長させるのです。知識やノウハウなんて関係ありません。やる気があるかどうか。この姿勢こそが未経験のプロジェクトを成功へ導き、結果や成果をもたらします。

もっとも、誰かに背中を押されて挑んでも意味はありません。上司や先輩から「今度、新しいプロジェクトが始まるから参加してみれば?」と言われたのを機に参加しても、自分の成長にはつながらないし、結果や成果も得られません。大切なのは自分の意志です。自分で考え、決断し、行動するという過程にこそ意味があります。この過程を踏まず、周囲に言われたことを理由に行動するのは挑戦ではありません。

挑戦するなら、自身の気持ちときちんと向き合うべきです。やる気が沸々と湧き上がっているか、新しいことに貪欲に取り組む意欲があるか。こうした意志を固めない限り、困難を到底乗り越えることはできません。そもそも挑戦しても長続きしません。何週間、何カ月にも及ぶプロジェクトを成功させようとするモチベーションを維持できず、かえってチームに迷惑をかけます。単なる興味や関心といった軽い気持ちで挑戦するくらいなら、関わらない方がましです。

さらに、自分の決断に責任を持つことも大切です。自分で決めたことを後回りにしたり投げ遣りにしたりすれば、周囲の信頼を失います。一度でも無責任な態度を表せば、信頼は二度と取り戻せないという覚悟で挑むべきです。一時の責任感ではなく、最後まで持続できるかどうか。挑戦し続けるためには、強い覚悟を持ち続けられるメンタルも必要です。

何か新しいことに挑むとき、なぜ挑戦したいのかを自身に問うてください。このとき「自分の意志で挑戦するんだ!」という強い気持ちが湧き上がっていれば、物事は必ず良い方向へ転じます。そう簡単に備えられるものではありませんが、何度も繰り返すうちにやがて習慣となります。そしてその習慣は、自分の強い武器となります。この強みが自身の心に宿ったとき、人はこれまで以上に成長するのです。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 挑戦は、他人に言われるのではなく自分の意志で決める。