仕事に対する姿勢が分からない、仕事の進め方が分からないという若手社員は多いはず。そんなときは、先人や達人の言動、さらには書物の教えを「真似る」べきです。では、真似ると仕事がどう変わるのか。真似て何を吸収すべきか。真似ることの大切さについて考えます。【週刊SUZUKI #50】

若手社員の中には、仕事の具体的なやり方が分からない人が少なくありません。作業の流れをマニュアルで覚えても、日々変化する仕事に応用するスキルを持ち合わせていません。仕事とは、一瞬一瞬の決断の積み重ねです。マニュアルだけでは通用しないシーンも多々あります。

私は物事を判断する基準となる価値観を養うべきだと考えます。価値観は、物事の選択や決断をするときに必要となる「思考の柱」です。何事にも動じず、涼しい顔で判断できる人は、思考の柱を必ず持っています。身近な尊敬する人や歴史上の偉人、名経営者を思い浮かべても、ブレない強さやしっかりした価値観を持っていると感じませんか。

では、価値観はどう学ぶべきか。答えは、先人や偉人、書物を「真似る」ことです。先人・偉人・書物の言動・行動をそのまま真似ることで、仕事への向き合い方や姿勢を正しく学べます。もし真似ずに自分流で仕事を進めると、これまでの自分の経験に基づく判断しかできなくなります。これでは自分の枠を抜け出せず、成長も止まります。

そもそも「学ぶ」という言葉は、「真似る」が語源と言われています。真似ることは、何かを学ぶ上で理に適った行為と言えるのです。ただし、真似るときはすべてを模倣することが重要です。自分ならではの考えや行動を加えてはいけません。上辺だけや都合のよい部分だけ真似るのも間違いです。中途半端な模倣は、かえって失敗を招きます。まずは完全に模倣できるようになるまで経験を積むことが大切です。

なお真似る対象は、先人や歴史上の人物、偉大な経営者です。過去の人から学ぶなら書物を参考にするのも有効です。危機に直面したとき、先人はどう行動したのか、書物ではどう乗り切るべきと記されているのか。これらを完璧に真似ることで、自分の価値観を高められます。先人や達人、書物の教えが糧となり、過去に同じトラブルを経験したかのように振る舞うこともできるようになるのです。

真似は恥ずかしい行為ではありません。仕事を効率よく覚え、成長も早める有効な手段です。仕事で失敗を繰り返す人は、上司や先輩の行動、さらには先人や達人、書物に書かれた英知を疑うことなく真似てください。それが学びとなって自身の価値観が磨かれていくのです。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 先人や達人、書物の教えを真似して価値観を学べ!