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苦労なんてしたくない…。若手社員を中心にこうした考えが深く根付きつつあります。しかし、若いときこそ苦労を味わうべきです。ミスして失敗も味わうべきです。では、苦労と失敗を味わった先に何を得られるのか。苦労や失敗を体験することの大切さについて考えます。【週刊SUZUKI #47】
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」。誰もが一度は聞いたことのある言葉です。かつての職場では、ベテラン社員が若手社員にこの言葉を伝えるケースがよく見られました。しかし、「苦労したくない」「大変なら仕事を辞める」と考える若者が増える中、この言葉も次第に使われなくなっていると感じます。
景気が低迷し、効率性を追求する働き方が求められるようになったことも背景にあります。時間に対してどれだけの効果があったのかを表す「タイムパフォーマンス(タイパ)」という考え方が若者を中心に認知され、限られた就業時間を要領よく働きたいと考える傾向が「苦労」を遠ざけつつあるのです。
しかし、仕事は効率性だけを追い求めるものではありません。とりわけ若い世代は、効率的かどうかを問わずさまざまな仕事に関わるべきです。例えば、答えのない課題と徹底的に向き合う時間も成長には必要です。どんなに非効率で要領が悪くても、その過程で感じたこと、学んだことが自身の糧となるのです。
時にはその決断が失敗を伴うかもしれません。正しい判断を導き出せないかもしれません。しかし、それで構いません。経験が浅く未熟なときは、失敗して当前です。失敗を恐れて何も挑戦しないよりも、結果を気にせず突き進む姿勢を持つべきです。失敗を何度も繰り返さなければ、人は成長しないし糧も得られません。
若いうちの失敗は、何度でもやり直すことができます。若手なら役割や責任が小さく、失敗したときの影響は軽度に済みます。上司や先輩のアドバイスも受けやすいことから、大きな失敗をするリスクも少なく済みます。逆にベテランになってからの失敗は、大きな影響となりやすい。上司や先輩も少なくなり、失敗のリスクも増えてしまいます。「あいつはベテランなのに」と見る目も厳しくなります。
若いうちは失敗を恐れずに挑戦していきましょう。失敗しても何度でもやり直せるのです。「私には無理」。今後はこう考えるのを止めましょう。無理と思えるほどの難題に対し、自ら立ち向かってください。その姿勢と難題に取り組む努力が自分を成長させます。自身を大きくします。効率よく働くだけでは得られない成功もつかみ取れるようになるのです。
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任