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デンマークの協働ロボットメーカーであるユニバーサルロボット(Universal Robots)は、北米とヨーロッパの製造業の企業1,200社を対象に、技術の活用方法と将来に向けた投資計画について調査を行いました。
2024年の春、ヨーロッパと北米の製造業者1,200社を対象に行われた広範な調査は、製造業界が直面する技術的課題と、これにどのように対応しているかについて深い洞察を提供しています。この調査から得られたデータは、製造業者がどのように新技術を受け入れ、投資しているかの理解を深めるものです。
調査結果によると、製造業者の50%以上がAIと機械学習を生産プロセスに統合しています(図1)。
AI技術の浸透は、製品品質の向上(54%)、生産性の向上(50%)、エラー削減とプロセス精度の向上(49%)に寄与しています(図2)。これらは、業界全体で普及している自動化技術やデジタル化の推進力となっており、製造業者はこれらの技術を用いて市場での競争力を保っています。
技術への投資は、主に品質と生産性の向上を目的としています。これにより、顧客満足度が高まり、製品の返品や欠陥が減少するため、製造業者にとってのROI(投資収益率)は非常に重要な指標です。信頼性と使いやすさが優先される中、製造業者はこれらの新技術が業務にスムーズに統合できるかどうかを重視しています。
調査では、ROIの懸念が最大の障壁であり、製造業者は投資の効果を最大化することを求めています。さらに、新技術の統合における使い勝手や信頼性の問題、専門知識の不足が、技術採用の速度を阻害している主要な要因です。
製造業者は、AIと機械学習(56%)、ロボット自動化(43%)、そしてデジタル化(41%)に注目しており、これらが長期的な成長を促進する主要な技術と考えています。今後10年間で、これらの高度な技術への投資がさらに増加することが予想されます。
製造業者の多く(78%)は、自社の技術進歩を中級または上級と評価しており、自己評価が高いことが、今後の技術投資に対する自信となっています。しかしながら、企業が自身の能力を過大評価している場合、それが未来の技術戦略にどのような影響を与えるかは不透明です。
この調査は、製造業が如何にして技術を戦略的に活用し、競争力を維持しているかを浮き彫りにしています。AI、デジタル化、自動化が製造業の未来を形作る中で、企業はこれらの技術を取り入れることで、市場での優位性を築き上げていく必要があります。
執筆:海道理彩