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兵庫県の最南東部に位置し、大阪市に接する尼崎市は、阪神工業地帯の中核都市でありながら商業地、住宅地の顔も併せ持つ街です。「教育は未来への先行投資である」という考え方のもと、同市では教育ICTの整備・活用に取り組んでいます。この一環として、学校におけるICTの活用率をいっそう高めるため、ChromeOS Flexを搭載した電子黒板が導入されました。
市教育委員会は、市全体で大型提示装置の活用頻度を高めるため、新たな機器の導入を検討。従来の大型モニターからの切り替え候補として、当初はモニター、電子黒板、プロジェクターの3つの選択肢がありました。今後普及するデジタル教科書を大画面で表示できることに加えて、「ICT活用が著しく浸透した5年後の尼崎も見据えて」と教育委員会の担当者は述べ、ChromeOS Flex搭載の電子黒板を選定しました。
選定に至った理由として、まず挙げられたのは、当市が児童生徒に1人1台のChromebookを配布している点です。Chromebookとの親和性が高く、操作性が似ているため、教員にとっても使いやすい機器であるとのこと。また、Google Workspaceを電子黒板上で直接操作できるほか、書画カメラも内蔵されているため、コードによる接続も不要で、授業で必要とする機能がオールインワンで利用できるという点が魅力です。入札はプロポーザル方式で実施され、2023年5月にChromeOS Flex搭載電子黒板を推す業者の提案が決定されました。その導入と運用は同年7月から8月にかけてスタートします。
園和小学校の情報教育担当である足立啓氏は、ICT機器に抵抗を感じる教員もいたと話しますが、自身がICTを好きであり、周囲の教員にPCの使い方を教えるなどして、サポートを続けてきました。Chromebookが配布されたことでICT教育の需要が一気に高まり、他の教員との協力によって、ChromebookやGoogle Workspaceを浸透させる取り組みを進めてきたと語ります。初めは抵抗があった教員たちも、足立氏とICT支援員の研修を通じて、ICT活用の壁を下げることに成功し、実際の授業に多くのICT機器が用いられるようになりました。
具体的な授業の活用事例では、教員がGoogleスプレッドシートを使ってその日の予定や授業内容を表示したり、Googleマップで実際の場所を確認するなど、インタラクティブな授業が行われています。また、児童がGoogle Earthを使って帰り道のルートを確認したり、校区探検のコースを作成して発表するなど、電子黒板が充実した学びを提供しています。
足立氏は、導入当初、子どもたちが電子黒板を見て「何、これ?」と興味津々な反応をしていたことを振り返ります。また、これまでの大型モニターでは、教員がPCで入力した情報が単に映し出されるだけでしたが、電子黒板の導入により、生徒たちと目線を合わせながら操作できるようになったため、理解が進みやすくなったとのことです。このようにして、教員の負担も軽減され、ICTを活用した高度な授業が実現する様子が伺えます。
未来に対する期待も寄せられています。今後は高学年や中学生向けに、児童が持つChromebookと電子黒板を連携させ、自分の考えやアイデアを自由に発表できる環境を整えることを目指しています。そして、個別最適化された教育を実現するために、各学校も工夫を凝らしてICT活用を進めていくことが求められています。このように、尼崎市の取り組みは、デジタル教育を進める上でのモデルケースとなるでしょう。
【関連リンク】
https://services.google.com/fh/files/misc/gfe-amagasaki-cs.pdf
執筆:DXマガジン編集部