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近年、EC(電子商取引)の普及とともに、消費者の買い物行動が大きく変化しています。特にアパレル業界では、オンラインでの購入が急増している一方で、消費者が依然としてリアル店舗を訪れたくなる理由が気になるところです。株式会社バニッシュ・スタンダードが実施した調査によれば、10〜60代の男女1200名を対象に、EC上のスタッフによるコーディネート写真が来店動機にどのように影響を与えているのかが明らかになりました。
調査結果によると、スタッフのコーディネート投稿を参考にする人は70%以上に達し、そのうち実際に店舗に行った人は60%以上に上ります。このデータは、オンラインで見たアイテムが気になり、店舗で実際に手に取ってみたくなるニーズを反映しています。特に興味深いのは、コーディネートを参考にした理由として、男女ともに「自分と似た体型の人のコーディネートが見られるから」という回答が最も多かったことです。このことから、消費者は自分の体型やイメージに合ったスタイルを求めていることが伺えます。
さらに、女性の場合、購入を検討しているアイテムを実際に見たいという理由が52%で最も多く、男性は他の商品も見たいという理由が46.2%で最も多いという結果が出ました。店舗訪問の動機は異なるものの、いずれもリアルな体験を求めていることが鮮明です。また、10%前後の人々は「スタッフに会いたい」といった具体的な目的を持って店舗を訪れていることも注目すべき点です。
一方で、店舗に行きたいと思った人の中に、実際には行かなかった理由としては「店舗が近くにない」が半数以上を占める結果となっています。さらに、ネットショッピングの利便性やお得感を理由にする人も多く見られました。そのため、店舗側がアプローチするべきは、顧客が店舗に足を運びたくなる仕掛けをいかに創出できるかという点にあると言えるでしょう。
スタッフのコーディネート投稿は、リアル店舗への来店動機を生み出す重要な要素であると考えられます。EC上でのビジュアルコミュニケーションが直接的に商品の魅力を引き出し、消費者の来店意欲に結びついているのです。今後は、ブランドがどのようにしてこのデータを活用し、顧客体験を向上させていくのかが重要になるでしょう。新たな顧客フレンドリーな戦略を模索する中で、スタッフとの接触を通じたエンゲージメントを強化し、ファン層を拡大することが期待されます。
アパレル業界において、ECの発展とリアル店舗の関係性はますます重要なテーマとなっています。消費者が求める「似ている体型のスタッフのコーディネート」といった具体的なニーズに応えることで、ブランドのファン獲得とLTV(ライフ・タイム・バリュー)の向上が見込まれるのです。これからのアパレルビジネスにおいては、ECと店舗の融合やデジタル体験の強化が重要な鍵を握ることでしょう。
【関連リンク】
株式会社バニッシュ・スタンダード
http://www.v-standard.com/
執筆:熊谷仁樹