TISは、ジェイアール東海情報システム(JRSIS)と共同で、東海旅客鉄道(JR東海)の基幹系メインフレームのオープン化を支援しました。このプロジェクトは、2021年2月から2023年11月までの約3年間にわたり実施され、JR東海が直面していたシステム運用効率の向上、レガシーシステムの最適化、COBOL技術者の不足といった課題に対応するための取り組みでした。

JR東海では、2019年にメインフレーム上で稼働する事務関係システムの分離を進め、全体のプログラム資産の40%を切り離すことに成功しました。しかし、残されたメインフレームシステムのさらなる最適化と運用効率の改善が課題として残されていました。また、メインフレーム市場の縮小や、COBOL技術者の不足という業界全体の問題にも直面していました。これに対応するため、基幹系メインフレーム上のレガシー言語(COBOL)で書かれたプログラム資産を、Javaに変換するオープン化プロジェクトを開始しました。

プロジェクトのパートナーとして選ばれたTISの「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」は、以下の点で高く評価されました。

品質担保と推進体制
TISは、プロジェクトの品質を担保するための具体的な計画や推進体制を提案し、信頼性の高いパートナーとして認識されました。

リライト技術と実績
TISは、メインフレーム特有の課題に対応できる独自のリライト技術を有しており、過去のマイグレーション実績も豊富でした。これにより、低コストでの対応が可能と判断されました。

柔軟な対応力
TISのリライト技術は、メインフレームの複雑な要件に対して柔軟に対応できることが期待されていました。

このプロジェクトでは、JR東海の基幹系システムの一部である運輸収入や輸送統計などの重要なプログラムが対象となり、これらが安全かつ確実にJavaにリライトされました。プロジェクトの成果として、以下のような効果がありました。

継続性の確保
重要な運輸収入や輸送統計などのシステム処理の継続性が確保されました。

COBOL技術者不足への対応
COBOL技術者の不足という業界全体の問題に対しても、Javaへの移行により対応が可能になりました。

コスト削減
システム運用におけるコストが大幅に低減されました。

保守性の向上
オープン化されたシステムにより、将来的なメンテナンスやアップデートが容易になりました。

今回のプロジェクトにより、TISの「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」は、メインフレーム国内シェア上位4機種のうち、IBM、富士通、NECの3機種でのオープン化実績を持つことになりました。この豊富なノウハウをもとに、今後も他の企業や業界に対してモダナイゼーション支援を提供し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を加速させる計画です。

TISは引き続き、JR東海のシステム運用を支援しつつ、企業がレガシーシステムの技術的負債を解消するためのサポートを提供していきます。これにより、企業が変化する市場環境に迅速に対応し、競争力を維持・向上させるための支援を継続していく方針です。

TISの「Xenlon~神龍 モダナイゼーションサービス」は、同社独自のリライトツール「Xenlon~神龍 Migrator」を活用して、レガシーな言語で記述されたシステムをJavaに変換することで、短期間でのモダナイゼーションを実現します。すでに多くの企業で採用されており、安全かつ効率的なシステム移行を実現してきました。

TISは、JR東海の基幹系メインフレームシステムのオープン化を成功させることで、同社のDX推進に貢献しました。このプロジェクトにより、システムの保守性向上やコスト削減、技術者不足への対応など、企業が抱えるさまざまな課題に対処しました。今後もTISは、他の企業に対しても同様の支援を提供し、日本全体のデジタル化を促進する役割を担っていく予定です。

執筆:糸井貴行

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 JR東海が基幹系メインフレームをオープン化、モダナイゼーションでCOBOLをJavaにリライト