デジタルシフトが進む現在、アプリが店舗誘導にどのような影響を与えているのかは、多くの企業にとって重要なテーマです。特にアパレル業界においては、オンラインとオフラインの融合が進む中、公式アプリやECサイトが消費者の購買行動にどのように寄与しているのかを理解することが求められています。株式会社DearOneが実施した最近の調査結果をもとに、アプリが店舗への誘導において果たす役割を探ります。

株式会社DearOneは、アパレル業界でのアプリ開発実績が豊富で、消費者の店舗訪問におけるデジタル施策の効果を分析するために調査を行いました。「アプリが店舗への誘導に役立つのか?」という懸念から、オンラインとオフラインの顧客体験を統合するOMO(Online Merges with Offline)およびO2O(Online to Offline)施策についての消費者動向を把握することが重要と考えました。この調査は、より効果的なアプリマーケティング戦略を打ち立てるための基盤となります。

調査によれば、74%の消費者がオンライン上のコンテンツがきっかけで店舗を訪問した経験があると回答しています(図1)。

図1

この中で最も多かったのは30代男性で、85%がオンラインコンテンツの影響を認めています。年齢層が上がるにつれてこの割合は若干減少するものの、60歳以上の女性でも74%が影響を受けていることが明らかになっています。消費者行動から見ても、業種によっては、ドラッグストアが最も高い影響度を示しており、次いでスーパーや飲食店が続きます(図2)。

図2

さらなる分析として、アパレルショップに行くきっかけとなった要素について調査が行われ、オンラインコンテンツの中でも特にアプリや公式サイトが高い割合を占めていました(図3)。

図3

これは、消費者が出所の異なる情報を複数参照することによって、実店舗へ足を運ぶ意欲が増すことを示唆しています。特にキャンペーンやセールの情報は、店舗訪問を促進する大きな要因として浮かび上がります(図4)。

図4

興味深いことに、Onlineで取り扱いのある商品でも、消費者はわざわざ店舗を訪れる傾向が強く見られます。実物を確かめたいというニーズが高いことが伺えます。通販サイトで買い物をするのではなく、あえて物理店舗に出向くという行動パターンは、消費者が実店舗に親和性を感じていることを反映しています。アパレルにおいては、商品の質感やフィッティングを確かめるために、実物を見ることが重視されているのです。

店舗誘導施策の一環としてクーポンがよく使われますが、その効果は必ずしも明確ではありません。調査結果では、クーポンを受け取ったからといって、必ず店に足を運ぶとは限らないことが示されています。しかし店舗の魅力が高い場合には、そのクーポンが「ついで買い」を促す可能性はあるため、消費者心理に配慮した施策が求められます。

調査から得られたデータをもとに見ると、アプリは店舗誘導において重要な役割を果たしていると考えられます。オンラインコンテンツは、消費者の店舗訪問に大きな影響を与えており、特にアパレル業界ではアプリや公式サイトが重要な情報源となっています。今後のアプリマーケティング戦略には、オンラインとオフラインのシームレスな統合がますます求められるでしょう。

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 アプリは店舗誘導に本当に貢献しているのか、調査結果を公開