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2024年の中国では、経済環境の不透明感が影響を及ぼし、消費者の行動が大きく変化しています。今年の注目すべきテーマは「消費降級(消費ダウングレード)」です。この現象は、生活者がコストパフォーマンスを重視し、より安価で質の高い商品を求める具体的な表れとなっており、ディスカウントストアでは安さと品質を両立させた商品が溢れています。企業間の価格競争も激化し、消費者は低価格の選択肢が増える中で、日常生活の中において買い物を楽しむ文化が育まれています。しかし、QRコード決済アプリの利用データを分析すると、支出が増加している人と減少している人がほぼ同数であることがわかります。このことから、生活者の消費行動は単なる節約志向だけに留まらず、消費を楽しむ姿勢が依然として残っていることが見えてきます。
また、コスパ重視の消費の背後には新たに「自築消費」という動きが生まれています。この自築消費とは、消費を通じて自己肯定感を高める行動を指します。消費者は、自分の実力や個性を再確認するために商品を選ぶようになっています。高価な商品を選ぶことで自分の経済力を実感し、また、他者を思いやる贈り物をすることで、他者とのつながりを確認するなど、より深い自己満足を得ることを求める傾向が強まっているのです。
この新たな消費行動を理解することは、企業にとっても重要なポイントとなります。従来型のマーケティング手法では、消費者の心をつかむことが難しくなる可能性があります。企業は消費者の自己肯定感やライフスタイルに寄り添ったアプローチが求められます。消費者が自己表現を促進するような商品開発や、感情に訴えるコミュニケーションを意識したキャンペーンが効果的です。これにより、企業と消費者との関係を一層深めることが可能となるでしょう。今後、中国市場においてはこの「自築消費」の流れが重要な要素となり、企業の戦略に新たな視点をもたらすことが期待されます。詳しくは「株式会社博報堂」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松