突然の「至急」「代行」の一言で、数百万円が一気に失われます。警察庁は、経営者になりすました電子メールから始まる「ニセ社長詐欺」に注意を呼びかけています。巧妙なのは、SNSグループへ誘導してからの同時多発的な指示です。社内の送金ルールが一度崩れると、被害は拡大します。手口の流れと抑えるべき対策を、時系列で解説します。

ニセ社長はメールで現れ、SNSで囲い込み、口座残高を把握して送金を迫る

警察庁は、法人の経営者や役員になりすました者が、インターネット等で公開されている法人のメールアドレスに連絡し、金銭をだまし取る事案が発生していると伝えています。実在の社長名や会社名が使われるため、初動で見抜きにくいのが特徴です。犯行はメールで「新しいプロジェクトのため」など業務を装い、SNSグループの作成と招待用QRコードの返信を指示する流れで進みます。ここで振込権限を持つ担当者をグループに含めるよう求められる場合があり、関係者を一括で巻き込む仕組みになっています。グループ内のやりとりでは、まず法人の口座残高などの情報が求められ、送金余力を把握したうえで「事業資金が至急必要」「取引先への支払いの代行を」と指定口座への送金が迫られます。警察庁が掲載した実際のメールの画像は、岐阜県警察から提供されたもので、現実に同様の誘導が行われていることがうかがえます。

対策として、警察庁は三点を明示しています。第一に、法人内で当該事案の発生情報を共有することです。第二に、送金に関する社内ルールを再確認し、例外運用を安易に認めないことです。第三に、SNSグループの利用指示があった場合は強く注意することです。万が一SNSに誘導されてしまった際は、トーク画面やプロフィール画面に通報機能があれば通報し、速やかにグループから退出する対応が求められます。警察庁は、相談窓口として警察相談専用窓口のシャープ9110や、都道府県警のサイバー犯罪相談窓口一覧なども案内しています。加えて、特殊詐欺の被疑者や拠点につながる情報を受け付ける匿名通報ダイヤルも利用可能としています。

実務では、社長名義の依頼であっても、支払い指示は別経路で必ず一次確認を行うことが有効です。メールからSNSへとコミュニケーション手段を切り替えさせる要求は、検証を避けるための常套手段です。QRコードやグループ参加の要請が届いた時点で、業務上の正当性を部門長や情報システム担当とともに照合し、社内ポリシーに照らして中断判断ができるようにします。送金権限者を巻き込む誘導が見られたら、権限保有者の追加ルートを遮断するルールを適用します。社内全体への注意喚起は、実際に送られたメール例を用いて具体的な文面特徴を共有すると、初動での識別率が高まります。通報後は証跡保全の観点から、メールヘッダーやSNSのトーク記録を保持し、必要に応じて所管窓口へ提供します。

見解 送金プロセスの「例外」を作らないことが最大の防波堤になります。メールからSNSへ移す提案と、残高確認の同時要求は強い危険信号と捉えるのが安全です。

詳しくは「警察庁」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部

情報提供元: DXマガジン_テクノロジー
記事名:「 法人狙う「ニセ社長詐欺」が急増? 警察庁が注意喚起、SNS招待と即時送金がキーワード